評価:★★★★☆ 4.2
150年ほど前、とある事故で封鎖になった地域の端に位置する閉鎖的なドーム。マスターを亡くして引き取られた犬型ロボット・ソラは、その施設で働く少年の姿をした人型の元救助ロボット・カナタと出会う。
世界は統一され、人々が百歳を超える寿命を手に入れて一見平穏な社会を築いているが、情報は巧みに操作されている。
ドームも心を持つロボットも隠された存在である。助けに呼ばれない救助ロボットと、可愛がる人のいない愛玩ロボットのお話。
閲覧ありがとうございます。
※なお物語の場所は架空の場所です。pixivでも公開中ですhttp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=2946932。
カクヨム、エブリスタにも公開始。
話数:全14話
ジャンル:SF
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
“科学が発展して今よりずっと便利な筈なのに、そこに住む彼らは例外なく哀しい。人として、感情を持つロボットとして、まるで繊細に象られたガラス細工のようだ。100年生きようとも数万年動き続けようとも、彼らの心は儚く脆い。「先に行くね。待ってる……」人類が求める楽園は地上に存在しない。ロボットとて同じこと。もしそれが””先””にあるとするならば、猶のこと我々はこの刹那を大切に生きる義務がある。”
遠い昔、事故により封鎖された地域。平和な世界の片隅で、犬型ロボットのソラは人型ロボットのカナタと出会う。入口はあれど出口のないドーム、隠され続けた真実の先に揺れるのは、たった一つの灯。人の業により犯された過ち、それを背負うロボットの「こころ」を生み出したのもまた人だという事実が、痛みを伴うように切ない。それでも、去っていく命を見送り続ける視線に温かさと優しさを感じることに、「こころ」の愛おしさを覚える。ソラとカナタ、二人の「こころ」が語りかける物語に、読者の「こころ」にもうつる何かがきっとある、そう思える作品。