評価:★★★★☆ 3.9
とある辺境伯の兄弟ゲンカに巻き込まれ、風見心悟は異世界に召喚されてしまった。目的は”領地を栄えさせてくれ”ということらしい。つまるところ、一般的な異世界召喚モノ――そう思っていた時期が風見にもありました。
「いや、だからただの獣医なんだって」
しかしながら異世界ファンタジーをなめてはいけない。こちらはドラゴン、魔物もいれば異種族だっている。地球との差は言語、魔法、生物、宗教、常識などなど果てしない。
そんな世界でも公務員獣医さんはとりあえず解剖したり、薬を作ったり、農業を改善していこうとします。
普通の勇者とも、医者とも違う獣医としての生き方で彼は異世界でも頑張って生き抜いていきます。
※書籍版よりも序盤の設定がハードになっております。
※書籍版第一巻とは三分の二のストーリーを変更しているため、第一章はダイジェスト禁止となる九月以降も残します。
時代:未登録
舞台:異世界
雰囲気:未登録
展開:未登録
異世界トリップが増えている中で、これこそ新しい異世界トリップものです。 主人公は異世界から召喚され、英雄像を望まれますが、職業は学生や輝かしい功績のある、毎年現れる十年に一度の逸材などでもなく、獣医なのです。 立派な噂と、変人という両極端な評価を受けつつ、真っ直ぐに己の価値観に従う主人公は平凡ながら非常に魅力的です。また、現代の技術をそのまま使うのではなく、しっかり研究しているところも魅力の一つではないでしょうか。 女性陣も可愛いですし、いつの間にか獣医さん=公務員獣医さんになっていました。 ほかのファンタジー作品を読む上でも、これを読んでいると、より味わい深いものになると思います。 是非、新しく読み物を探しているという方、動物が好きという方、獣医に興味があるという方、そしてなによりファンタジーが好きという方は、一度手に取ってみることをおすすめします。
異世界トリップものです。主人公が“公務員獣医”という珍しい設定であり、その結果か常に物語の本筋でカビは糞の採取といった地味で汚い作業が描かれており、それが主人公の「異世界での奇人」というキャラクターをしっかり浮かび上がらせてくれています。(もちろんこれらの行為は意味のある行為なのですが……)主人公の立ち位置がはっきりとしているため、彼のまわりを固めるキャラクターの個性がより際立ち、それぞれの絡みが非常に面白いです。また、冒険や戦闘といった王道の要素もしっかりと取り入れられており、特に戦闘シーンについてはスピード感があり、思わず引き込まれてしまいます。ファンタジーの世界観にしっかりと現代の医学や獣医学が盛り込まれている本作は、読み応え十分な一作としておススメできます!