評価:★★★★☆ 3.7
世界の片隅にひっそりと存在する、六つの島国から成るブルーテ諸島。その一角であるシェーブル王国は、王国とは名ばかりの王が不在の国。王の崩御から半年が過ぎた頃、隣国レイヤーナの干渉を受けつつも、国内では複数のレジスタンスによる内戦が続いていた。その中のひとつの組織のリーダー、レヴィシアは、若干十六歳にして同じくレジスタンス活動家だった父の遺志を継ぎ、仲間たちと『王様のいない国』民主国家の実現を目指す。
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:残酷な描写あり
少女レヴィシアはレジスタンスのリーダー。女傑というタイプではなく、本当に普通の少女。しかし運命に流されるのではなく、仲間たちと必死で明るい方向に歩いて行こうとします。少女も、亡くなった王も強く思う『願い』があり、王の願いの方は最後に明かされます。最初は迷惑で無責任な王だな、と思った彼の必死の願いが胸を突きました。そして少女の偽善ではない強い思い、子供特有の踏み込む一歩にキラメキを感じます!登場人物は大勢ですが、気がつくと各章ごとの説明を読まずとも把握できるようになっていることでしょう。しかし、そこに作者様の素敵イラストが入っているのでお見逃しなく!!
長編ですが、文章、設定、展開全て、ぶれを感じさせることなく最後まで書き上げられていました。ファンタジーとはいえ、ここまで深く掘り下げた政治描写は難しいと思うのですが、驚くほど矛盾点が見当たらない展開に作者様の力量がよく分かります。人間の本質を抉りながら、それでいてその暗い景色を暗いだけで終わらせない「希望」がきちんと描写されてもいます。目的とは、時に手段を選んでいては達成出来ないものです。けれど、手段を選ばなければ結局他人には認めて貰えないものでもあります。その狭間で揺れながらも、己と仲間で貫いた進むべき道、光を照らす主人公。日光を浴びて開き、己を輝かせるその花《主人公》は、章題にある月に喩えるに相応しい存在でした。素敵な作品です!
国が今のままではだめだと思った時、その問題を数え上げ、文句を言うことができる人は多い。問題を解決するための方法を考える人も、また珍しくはないだろう。でも、人々に新たな希望を示し、それに光を当てることができる人はわずか……父の遺志を継いでレジスタンスのグループを率いる娘レヴィシアは、自らの放つ強い光で個性派ぞろいのメンバーをまとめ、『王様のいない国』を目指す。レジスタンス『フルムーン』の行く先は?そして魅力的な登場人物たちの愛の行方は?ドキドキがいっぱいの大作です!!
切ないのは、十代の少女が革命を鼓舞すレジスタンスのリーダーだから――。 いや、そうではない。 彼ら年端もいかぬ世代、そして、それ以前から生き抜いてきた世代――変革の期に、歴史の向こう側を作り上げようとする者たちの姿が切なく、愛しいから。 王侯貴族が上に立つ世界ではなく、皆が同じ目線で見つめあえる国のために、戦いを決意した彼らの前には、新しい出会いや、哀しい別れが幾つも訪れる。 それを見守って行きたい――きっと、そう思う世界が、そこにある、はず……。
志半ばで倒れた父に代わり〈王様のいない国〉の理想の元 走り出した少女レヴィシア。 彼女を取り巻く謎の剣士やスマートな軍師、 同じく革命家を父に持つ幼馴染…… とても書ききれない、一癖も二癖もある仲間と共に 主人公が歩む〈満月〉までの道のりを ぜひ、一緒に見届けようではありませんか! 《レジスタンス・ファンタジー》の新世界です! あ、レヴィシアは可憐な花の名前だそうですよ?
レジスタンスの活躍を描く大作。小説家になろうに投稿されている作品の中でもかなり上手い部類に入る作者の力量は、読み始めてすぐ伺えた。登場人物たちの感情の機微、繊細な世界観。それらが文章の端々に現れていて読んでいて心地よい。派手な作品ではないが、ファンタジーが好きなら「是非!」と言いたくなるような作品である。
ファンタジーだけど、魔法はありません。 ファンタジーだけど、超人はいません。 ファンタジーだけど、等身大の人間達が物語を紡いでいます。 文章量はけして多いとは言えないものの、何故か惹き込まれてしまう魅力がここにはあります。 貴方も、一度この世界を覗いてみてはいかがでしょうか? 王の立たない世界を創るために努力する主人公と、その主人公の周囲でキラリと輝く仲間達。 登場するキャラクター達の未来を、一緒に見守りましょう。
ファンタジーですが、魔法がありません。そして魔物も出てきません、勿論魔王も。中世の王族貴族に対抗する一般市民達の戦い、と言えば良いのでしょうか。章の冒頭に登場人物、地名の記載があり分かりやすく、迷っても戻れば把握が出来ます。また、文体も読みやすく、簡潔に書かれているのでさくさく読むことが出来ると思います。一番の見所は人間関係だと思います。良くも悪くも人間臭い様々な登場人物が絡み合い、もどかしい恋愛もあれば、憎たらしい卑怯な者、正論を真っ直ぐに言う者……。様々です。特に主人公は応援したくなります、進む先が困難であると分かっているからこそ、余計に。なので彼女に立ちふさがる者がわずらわしく思えます。王が居ない国……。今後、どうなるのか完結が楽しみです。
レジスタンス。 それは国に対する組織。 そこに参加するのは年端もいかない少女でありながらも、リーダーであり、彼女はそれ相当の覚悟をした上で組織を動かしている。 彼女が目指しているのは、「王様のいない国」。 それは難しいし、できるまで困難な道のりである。 でも、あきらめようとしない彼女は少女とは思えない。そんな彼女についていくメンバーたちは誰もが覚悟し、進もうとしていく。親しい人がいなくなっても、あきらめそうになっても、彼らは王様のいない国を作るためにひたすら前に歩もうとしていく。 もう戻れない。それがレジスタンスのリーダーとしての覚悟。 魔法などなく、剣と弓矢、それから戦略の三つの要素で作られているこの小説を読んで欲しい。