評価:★★★★★ 4.5
シリーズ第二弾。
〈スペル事件〉から約五ヶ月。
エヴァンとレジーニは、相変わらず衝突しながらもメメント狩りを続けていた。
そんな中、二人は賞金稼ぎコンビーーマックスとディーノの襲撃を受ける。
メメントだけを相手にする異法者(ペイガン)に懸賞金がかけられたことに疑問を抱くレジーニは、事実調査を開始するのだが、過去に因縁のある人物がアトランヴィルに戻ってきたと知り、取り乱してしまう。
その人物とは、かつてのレジーニのボスであり、最愛の恋人を殺した男だった。
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:近未来
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:残酷な描写あり
今回はいままで心に何かを隠していた頭脳明晰な相棒が心をさらけだす物語。今作は感情描写が主な回です。心をさらけだす相棒だけではなく、様々な人物の感情がしっかり現れます。そこに浮かび上がるひとりの女性……。それぞれが悩み、思い出し、壊れそうな彼を連れ戻します。そしてびっくりするくらい残酷なキャラクターが出てきます。読んでいただけたら読者さんも恐怖することでしょう。足を洗うのは大変なんだよ……。世界観から一時離れ、人物に焦点を当てた作品となっています。こちらを読むとさらにハマります。今度は登場人物が好きになっていきますよ……。
蒼い機械剣〈ブリゼバルトゥ〉の使い手レジーニの前に、過去の因縁が現れた。 魂を氷獄に囚われたレジーニは、全てを拒絶し、復讐の蒼い焔を燃え上がらせる。 憎悪に駆られ、平素のクールな仮面をかなぐり捨てて荒れ狂うレジーニ。 その怒りと悲しみは、ヴォルフやママ・ストロベリーでも止められない。 エヴァンは、真の相棒として、レジーニの全てを受け容れ、救えるのか。 新キャラ、賞金稼ぎディーノと“凶悪チワワ”マックスのコンビが登場! バディもの、悲恋もの、バトルもの……複数の要素が醸す濃密な人間ドラマは、目が離せなくなる熱い展開。 彼らが生き生きと暮らす街の描写も秀逸。背景部分も見逃せない。 このアトランヴィル・シティで何があったのか。 レジーニの苛酷な過去と淡い愛の思い出が明らかに!
信頼という言葉が全編に渡って物語を動かし、レジーニは心の氷を溶かします。冒頭の欲情ザルはまぁ伏線と言えなくもないですw良い役をもらってるなーと。その猿は、自分の相棒に信頼されていないのでは、と悩みますが、話が進むとそれはもっと重い話になります。でもこれでレジーニがなぜ「今」こうなのか。それが文字通り「氷解」します。戦闘描写は対人、対メメント戦が明確に別れ、マニキアンである特徴が色濃く表れます。それがラストバトルを盛り上げています。
炎のようにアツい肉体派おバカ、エヴァン。氷のようにクールな頭脳明晰ドS、レジーニ。相反する二人はコンビを組んで、闇を這う異形の者を退治する日々を送っている。裏稼業とはいえ、彼らの相手は常に異形。つまり、人を襲うことなどはない。だのに、ある日突然、賞金首に命を狙われて――!?今明らかにされる、レジーニの壮絶な過去。光と闇の間で心を閉ざし、氷のような壁を作るレジーニ。果たしてエヴァンは、レジーニの氷を溶かすことは出来るのか?彼らが最後に掴むものは、生か、死か。光か、闇か。絶望か、幸せか。二人が〈真のコンビ〉となる日は、果たして訪れるのか――。近未来SFアクション第二弾!しかし、第一弾を読んでいなくても十分楽しめます。ヒロインとのニヤニヤも健在です❤その目で、是非、確かめてみてください!
ハードボイルド。これこそがこの話を表すのに最も相応しい言葉だろう。SF要素の強かった前作から一転、この作品には所謂異形の敵は一切現れない。出てくるのは徹頭徹尾、普通の人間のみ。そこで描かれるのは、ある男の過去の因縁とその決着だ。かつて男は、大事な物を失った。それを紛らわす様に別人になりきる事で磨耗した自分を辛うじて守っていた。彼はずっと待っていた。大事な物を奪った相手への復讐を胸に。そうして物語は男の復讐を軸に動き出す。相棒であるエヴァンは彼を理解しようとして幾度も失敗する。だが、理解は出来ないのだ。何故なら他人を完全に理解なんか出来る者などいない。だからこそ、とエヴァンは決意する。理解は出来ない。だけど側で支えてやる。手を伸ばしてやる、と。だってそれが相棒って事だろ、と。決着の後、彼がつけるケジメ。そう、まさにこの終わり方こそが正しくハードボイルドだろう。
挿入イラストがとても素晴らしいです、ですが、どうかイラストだけを先に見ないでください。 タイトルに2ndとありますが、この作品からでも十分楽しんで読むことが出来ます。 主人公の恋人であるアルフォンセの純粋さも、この作品の見所ですが、今作は主人公の相棒である、インテリ冷徹美形眼鏡青年レジーニが主となるお話です。 辛い少年時代を過ごしてきた彼の生き様が中盤から語られますが、深い闇に沈んだ彼の心情が痛いくらいに描かれています。 闇に堕ちた者が光を見つけ、そして……。 冒頭で触れたイラストの件ですが、読む前と後では印象が変わると思います。込められた思いが伝わってくると思うので、波乱に溢れた人間ドラマの結末を、是非。