評価:★★★★☆ 4.3
エロ本を買うために深夜徘徊していた少年・富岳は、真っ暗な路地裏でアイドルを見かける。
こんな夜更けに何をコソコソしてるのだろうか? 何の気なしに写メを撮って家に帰るが……翌朝のニュースで殺人事件があったことを知って、彼は仰天するのだった。
隣人で旧知でもある彼女とは今では何の繋がりも無い。助ける義理も恨まれる筋合いもない。
さっさと通報しようか、彼は悩むが……それを見透かしたかのように、数年ぶりに来訪した彼女の口から出たのは、黙っててくれるならエッチしてあげる。そんな口止めの言葉であった。
これは、そんな少年たちの送る恋愛ミステリーです。
時代:未登録
舞台:未登録
注意:R15
冒頭は下ネタ全快のドタバタ劇から始まりますが、事件の発生とそれに合わせて幼馴染みが姿を消したことで、序盤はしんみりと幕を閉じます。 そして一年後、主人公の境遇は一転します。 過去の過ちが跳ね返り、本当は煩悩まみれで明るいはずなのに心を開けない。そんな主人公が懸命に努力して、やっと報われる物語です。 そんな三朗君の姿は過去の自分を照らし合わせてみれば、どこかしら共感してしまうのではないでしょうか。 とくに終盤前のタイトルが秀逸。 思わず、『よく頑張ったね』 と言ってあげたくなるような読後感です。
まず一つ、忠告を。この作品には序盤、下ネタ要素が多い。注意して読まれよ。私も最初は楽しみながらも、「このまま続くなら微妙かも」と思ったりもした。 しかし、ページを進めていくにつれ、私の指の動きは遅くなっていった。何故か? 正直私にもよく分からなかった。ただ、「すごい」と思っただけだ。……稚拙な表現かもしれないが、確かに私はそう思ったのだ。 前半の緩さとは一転、『一年後』という名題で語られる物語は、ただただ切なかった。年を経て変わったもの、失ったもの、出会ったもの。全てが淡々と綴られ、私の心を抉った。青春とはこんなにも辛く、重く、美しかっただろうかと、そう思った。 これは、吐きそうなほど美しく、そして、最後には読者に問い掛ける物語である。 ――本物の青春がここにある。 ……と、思ったが、やっぱり最後は笑けてくるのである。
なんでこんな名作が埋もれてしまっているんだ…おかしい…世の中絶対おかしい…かくいう自分も作者様のヒットしてる他作品から来たクソニワカのクチですが、これはもったいない。完結から随分経ってますし、この作品の魅力については他レビュー様で見事に説明されているので長々とは書きませんが、たった18万字でここまで没入出来る体験を逃すのはあまりに惜しい。高い表現力やら、場面場面に漂う空気感やら、とにかく読めば分かります。締め方に関しても、かなり綺麗で心配する必要はありません。読了後には、必ずや費やした時間以上の報酬を得られることでしょう。どうか、騙されたと思って読んでみて下さい。
今や人気アイドル歌手の幼馴染の少女、谷川あさひ深夜の路地裏で彼女を見かけた中学3年の少年・富岳は、翌日そこで殺人事件が起きたことを知る彼女を疑う少年に彼女が口に出した言葉「もし、黙っててくれるなら……エッチしてもいいよ」少年の青春時代を彩るのは、ひと癖もふた癖もある友人・先輩後輩・大人達悩み、決意し、逃げだし、時にはぶつかり合うこれぞ青春!そんな青春時代に培った人間関係は、進学し青年となった富岳に降りかかるトラブルを解決へと導くそして知らされる4年前の殺人事件の真実とは……短いながらも圧倒的な熱量で怒涛の展開が繰り広げられる青春劇!下ネタ注意ではありますが、下ネタこそがこの小説の真髄だと思います※下ネタ注意
下品なジョークや男子中高生がやりがちなおバカな日常をはさみながら、一つの日常の謎が最後に解き明かされる日常の謎ものミステリーの枠組みを借りた青春ものです。空気感や肌触りまで表現した描写力は見事の一言で、途中で挿入される数々の挿話も魅力的です。終盤までの展開がかなりゆっくりした歩幅ですが、是非、最後まで試してください。下ネタが多いのでお気を付けください。
これほどの力作が埋もれているとは思いませんでした。文章力が非常に高くそれこそ角川スニーカー文庫あたりから出ていてもおかしくないような完成度の高さです。ラノベと普通の商業作の間をいくような精緻な文体は、大変好感が持てます。終盤までの展開が少しかったるいところがありますが最後まで読めば青春の痛みと終わってしまう事の切なさを味わえるかなりの秀作です。若干下ネタが多い事が注意点です。