評価:★★★★☆ 4
中小店舗や個人商店が駆逐され、大型店舗とチェーン店だけが存在するようになった社会。だが変化はそれだけにとどまらず、次は拡大するオンライン商店が実在店舗を駆逐しはじめていた。一極化の進んだ世界を描く、社会学フィクション。あなたのSFコンテスト(http://yoursf.tiyogami.com/index.html)出品作品。
話数:全5話
ジャンル:SF
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:近未来
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
SFに描かれる未来の様子はどこか現実離れしていて、実生活と結びつけることが難しいことが多い。しかしこの「なにもかえない」で描かれる未来は、まさに接近しつつある未来だ。自身の生活を振り返ってほしい。食事や本、DVDを買うとき、あなたはどこで購入している?友達や家族の生活も見てほしい。通信販売の匂いがあなたに迫っていないだろうか。その匂いがあなたの生活を覆ったとき、いかな未来が待ち受けているか?その目で確かめていただきたい。知らなければ、人はなにもかえないのだから。
普段から、便利と使っている通販が少し怖くなるお話でした。キャラのわかりやすさと軽さが読みやすさにもつながっているのですが、逆にそれのせいで本作が怖く思える。 読み終わって、よくアイディアを思いついたなの一言。現実の経済活動は本作のように単純ではないと思いますが、もしかしたらと考えさせられる作品でした。
便利さの行き着く先に何が待っているのか、あまり考えない。考えたとしても、やはり一度慣れた便利さには変えられない。完成されたシステム、そこからこぼれ落ちたものを散らかしながら世界は回る。この物語の街の風景を思い浮かべるならば、それはもはやホラーだろう。フィクションでは済まない薄ら寒さを感じつつ最後まで読み終えたなら、タイトルをもう一度見て欲しい。心臓がギクリと気まずい音を立てる、そんな一作。