評価:★★★★☆ 4.2
――むかしむかし、真面目を装った、それはそれはクズな町娘がいました。早くも一文目から漂う原作クラッシュの匂ひ。両親の財産を食いつぶす怠惰なシンデレラは、筋肉山脈の異名をとる二人の姉アナスィとドリスタと生活を送っていましたが、ある日転機が訪れます。そう、今宵は王子が強き女をめとる"舞踏会"。モートゥル・コマンドーGUYみたいな筋肉隆々な妃候補が白亜の城に集うころ、自宅警備をしていたシンデレラは謎の老婆と出逢います。「お前さん、人間を辞める代わりに舞踏会を勝つ気はないかい」胡散臭いババアの甘言を前にして、シンデレラがとる選択とは。これは灰かぶりと筋肉が織りなす物語。
※全3話構成の物語になっています。
話数:全3話
ジャンル:その他
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:R15
書店のラノベコーナーには『オレ別に絵が描けないから小説って手段選んでるだけですしぃ、絵が描けたら漫画描いてますしぃ』とばかりに文章をないがしろにした作品が少なからず存在します。 ですが、この作品はそうした作品とは対称的に、ぶっ飛んだタイトルやあらすじからは考えられないほど文章を大事にしています。フルスロットル、ノンストップに連綿とギャグを紡ぎ出しながら、しかしそこには句点と読点の一つ一つにまで気を遣って生み出されたテンポが存在します。きっと作者は脳内で音読を繰り返してこれでいいのかと確認しながらこれを描いたのでしょう。 消去法の末に小説という手段を選んだだけの作品にはない、小説だからこそ表現可能な、笑えると同時に心地よい文章です。 ミジンコ作者がこれを言っても虚しい限りですが、ここは一つ、往年のベニー松山のパクリでレビューの締めとしたいと思います。『オレを信じてこれを読め!』