評価:★★★★☆ 4.2
全国民にDNA情報の登録が義務づけられて五年。ニュースでは犯罪検挙率が上がったとか言うけれど、ぜんぶ自分とは関わり合いのないことだと思っていた。
取り返しのつかないこと、というのが世の中にはある。これは、そんなこともわかっていなかった、救いようもなく馬鹿だった七月のわたしの話。
/「あなたのSFコンテスト」(http://yoursf.tiyogami.com/)参加作。/後日、自サイトにも転載予定です。
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:近未来
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
全国民にDNA情報の登録が義務付けられた、近未来。主人公の「わたし」は、そんなこととは関係ない生活を送っていた――遺伝に関する問題は、社会的に関心が高いですね。この作品は、遺伝子に関わるデリケートな問題を、フィクションで綺麗に描き出しておられます。 前半は恋愛物語かと思いながら読み進めていきますが、主人公が須田原くんの事情を知ることになったところから、状況は一変します。彼と母親との関係、主人公との微妙な心理が、とても理解できました。この作者さまのSF作品は、いつも大変よく練って創られていると感じます。他の作品も好きですが、私は、特にこの短編をお薦めします。
駄目だと分かっていても、人って他人を差別しちゃうものだと思います。 たとえば、外人を見て変な緊張感を覚えたことはありませんか。変な噂を流された職場の同僚や、クラスメイトを見かけて、つい目を逸してしまったことは。 差別は駄目だと教えられても、人は人を差別するように作られてしまっているのではないでしょうか。 思考より先に感情は働きます。その感情を理解して初めて、人は後悔をするのでしょう。 それは、そんな経験をしてしまった、ある少女のお話です。
序盤は、女子大生が同じ大学の男子生徒とSF小説の話で盛り上がり、親密になって行く過程を書いたラブロマンス。何だ色恋かと思いきや、底に敷かれたSF設定が作品の雰囲気をガラリと変える。短編ながらも多種多様なハラハラドキドキが用意されていて、サクッと読めてしまうボリュームだが、読んだ後は色んなジャンルを渡り歩いたなと満足してしまいます。