評価:★★★★☆ 4.1
17歳の真は、宰相にして兵部尚書・優の側妾腹の少年だ
この歳で既に世捨て人のような飄々とした雰囲気のある、と云えば聞こえは良いが、有態に云えば『うだつの上がらぬ朴人(ぼくと)』と揶揄されるばかりの、ひょろひょろとした情けない成りの少年だったしかし彼は全く構わず、何時の間にか住まいにしてしまった書庫に籠城よろしくこもる日々を送っていた
そんなある日、父に命じられ嫌々ながらに皇帝に謁見した真は、居丈高に命じられる此度、初陣となる息子・戰(せん)の目付となり祭国に向かえ、と
礼節にのっとって無言を貫いている様にみせながら、その実やれやれ、と嘆息しつつ少年は理解する
ふむ、良いところ番犬(いぬ)だな――しかしいざ顔をあわせてみた皇子・戰は、どうやら真が想像していた『皇子様像』とはかけ離れた御仁のようで……?
さて、この二人
皇子・戰と真は、果たして無事に初陣を勝利で飾ることが出来るのか?※ この物語は、覇王の走狗(いぬ)の前日譚にあたります
話数:全3話
ジャンル:エピック・ファンタジー ヒューマンドラマ
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:成り上がり
覇王の番犬は、つとに良く出来た出来事を語っている。苦しみを知らぬ者に真の喜びはなく、痛みを知らない者に人の痛みはわかりようがない。覇王となる星に生まれた美しい王子と、男を滅ぼす星に生まれた愛らしい姫。学問に生き、学問に死ぬを良しとする男。裏切り、妬みが常の宮中にあり、不幸な境遇の弱い立場であるが故に信頼で結ばれた者達が、艱難辛苦を遠く栄達に変え、覇王として立つことを決められた前日譚。番犬だった真の物語は、走狗へと‥