この壊れた美しい世界で

この作品を読んで凄く感動しました。至る所に共感できる部分や『なるほど！』と思う部分がありました。プレートニフ師匠の他の作品も素晴らしかったですが、この作品も素晴らしいです。正直読んでいるうちにグッときて泣きそうなりました(^^)。主人公がうつ病になってしまった理由に僕は凄く共感できます。この作品を読んで改めて人間の弱さや優しさについて考えさせられました。一話一話が短いので本当に読みやすい作品になっていますので皆さんも是非読んでみてください。読み終わった時、『優しさ』というものを改めて考えさせられると思います。

　精神科に通う男と女。彼らは辛い環境の中で心を病む。何もかもできない、何もないと嘆く彼に彼女は言う。「心がある」と。　この作品は人間の弱さ、強さ、汚さ、優しさなどの感情を飾らない言葉で率直に紡がれています。　特に最後のクライマックスへ向かう場面の心理描写は秀逸で、貴方も共感すること間違いなしです。　精神科の入院病棟の人も個性ある人で、その人物の言葉の一つ一つにも心が動かされます。　そしてハッピーエンドなのも読後感が良いです。　一話分が短いのでサクサクと読め、全体でも一時間くらいで読めます。

優しい人が病んでしまう今の社会。それってやはり歪んでいて、壊れた世界。だけどみんなこの世界で一生懸命生きている。そんな世界だって、町並みは鮮やかで、夏の風景はどこか懐かしい。世界はどこまでも美しい。――そんなふうに思えるお話です。簡潔で優しい文章を読んでいると、精神科病棟の中庭や夏祭りの様子がありありと浮かんできます。主人公がなぜうつ病を患ってしまったのか。理由を聞けば、あなたも主人公に共感してしまう。自分も同じだ――。そう思うかもしれません。この物語を読んだ後は、あなたも身近な誰かのために優しくなれるはず――。

とある二人の男女が精神科で出会う、そこから歯車は回り始める。優しさを持つことはとてもいいことである。そのはずである。……なのに、それを持つことにデメリットまで起きてしまうこの世界。考えてみれば、なんて理不尽なものなのだろうか。持つことで、なぜ負の要素まで起こしてしまうのだろうか？この「壊れた世界」の意味。それがわかるとき、あなたは今の世界を比べて思うだろう。「もっと、優しさがあったらどうなるんだろう」と……