評価:★★★★☆ 4.3
現代に人知れず存在し、人間を超越した力を宿す者、狗鬼(コウキ)。
その狗鬼の傷を癒やす役目を持つ者、籠女(カゴメ)。
二者は狗鬼が籠女を守るという契約をもって共存している。狗鬼は十八歳の誕生日までに籠女との契約を結ばなければ、命を落としてしまう。
籠女との契約を体が拒絶してしまう十七歳の狗鬼、哭士(こくし)が、刻々と迫る寿命を前に、幼少の記憶が無い籠女、色把(いろは)と出会う。
人外の力を持つ者達が繰り広げる一つの物語。第五回 ネット小説大賞一次選考通過。
◎現在、第一部と第二部を製本しております。詳細はページ下の製本版紹介ページにて。
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:シリアス
展開:未登録
読み終わるのが惜しい作品にたまに出会うことが、皆さんにもあると思います。この「嘯く羊」がまさにそれ!と言い切りたい。 あらすじや冒頭を読んで、重そう、大人向け?と思って、読むのを敬遠するかたもいらっしゃるかもしれませんが、どうか1の半分まで読んでみてください。一気に作品世界に取り込まれること必至ですから。 キャラも個性的で、いかにも女性のハートを掴むのがうまそうな面々が揃っています。 男性が読む分にはバトルのアイディアがこれでもか!と詰め込まれ、出し惜しみなしの大迫力で描かれています。作者のリネさんが燃え尽きるんじゃないか?と心配になるほどです。 「嘯く羊」の魅力はいくつもあり、とても書き尽くせないのですが、私がとても強く感じたのは「非情な世界に置かれながらも、なお失うことのない男のクールかつ熱き想い」です。 ぜひ、堪能してください!
現代日本を舞台に、異能を持つ者たちが、異形の敵と、また同族たちと戦いあう。無敵かと思われる彼らには様々な、しかも凄まじい制約が課されていて、決して万能ではなかった。盟約によって、大切なひとたちのために、譲れないもののために、戦い、進み、失っていった彼らの先にあったものとは……。次から次へと畳みかけるようなバトル、魅力的な人物描写、人の心の温かさ、そして冷たさ、繰り返されるどんでん返し。練りに練られた設定と理論が、緩急と清濁を併せ持った展開で、これでもかと言わんばかりに発揮されております。どうぞ、唸り、燃え、そして心を震わせてラストまで突き進んでみてください!
本能と血の力とで、互いを守りあう狗鬼と籠女。迫り来る寿命。闇に潜む異形。氷や空間を操る能力……中ニ心をくすぐる要素を豊富に取り入れて伝奇風に味付けした、完成度の高い作品です。まさに滑空するようなスピード感あふれる冒頭。全190話という大長編で走るべき所は走り、振り返るべき所はゆっくりと……と緩急巧みな構成。圧巻はバトルシーンです。多彩な異能が飛び交う中、自然科学を味方につけて窮地を切り抜ける狗鬼たち。どれほど傷ついても少女の為に戦う主人公に萌え…燃えます!重いテイストのシナリオながら、安心感を持てる登場人物が多いことも、読みやすさの理由のひとつかと。そして主人公はそろそろヒロイン押し倒せよとか思っ(略)心に刻まれる終幕を見た後も、彼らのそれからの物語を知りたくなります。現実と異界の混在する舞台。陰謀、壮烈なアクション、仲間の絆、じれじれラブが好きな方に、ぜひ。
現代モノの和風ファンタジーですが、リアリティがあって馴染みやすいです。設定も分かりやすくてら一貫性があり、最初から最後まで安心して読めました。戦闘シーンで狗鬼達はまさしく人外的な能力を発揮しますが、それぞれの強さや特徴を上手く活かした演出が素晴らしいです。能力だけで勝つのではなく、その能力をうまく利用して勝つというこの頭脳プレーに毎回ホアアアとなりました。最高です「ファンタジー」でありながら「現実味」がある。これも魅力の一つなのではと思います長編ですがストーリーのテンポも絶妙で気付いたら時間が過ぎています。読む際は気をつけて下さい
お互いを必要とし、お互いの存在が無ければ生きていけない籠女と狗鬼。彼等は契約をすることで、互いを護る。哭士は誰よりも強い力を持ち、誰よりも貴い家柄の狗鬼でありながら、契約ができないために蔑まれ、命をすり減らしていた。刻一刻と寿命が近づく中、彼は一人の籠女と出会い、少しずつ変化して行くのであった。かなりの長編で読むのに四、五時間はかかりますが、長さに見合うだけの中身があると思います。文字数の多い長編にありがちな世界を広げ過ぎ……ということも無く、上手いこと設定を活かしてます。人物も「この人誰だっけ?」と思う程沢山出てきません。設定は、現在の日本を舞台にしているせいか、小難しく無く、説明もわかりやすいので戸惑うことはないかと。何より、話が初期設定からブレませんし、伏線回収が素晴らしいです。恋愛要素は今の所微糖ですが、あまり気になりません。ファンタジーが好きな方にオススメ。