伯爵家の秘密

〜〜〜〜ラヴァレ伯爵家には、誰も知ってはならぬ秘密がある。――「伯爵の世継ぎは、裏町の娼館育ち」。だが、それは大きな秘密のほんの一部にしか過ぎない。〜〜〜〜 (作者BUTAPENN様 紹介文より)下町のべらんめえ口調で、貴族に対し痛快に対応していく、伯爵家の跡継ぎとなったエドゥアール。名目は、伯爵様の非嫡出子、農村生まれ。秘密は、伯爵様の非嫡出子、娼館生まれ娼館育ち。真実は、伯爵夫妻の嫡出子。経歴を何重にも偽り、真実を隠す理由とはいかに。時代を感じさせる丁寧な描写、魅力あふれる登場人物、心温まる人々のつながり、全てに感動しました。最高の正月休みでした。

娼館で育った庶民派ヒーロー、出生の秘密、王宮に渦巻く陰謀、裏切り、冒険、そしてロマンス。筋立ては王道ハーレクイン風ながらも、甘さ成分控え目で男性読者でも楽しめる娯楽小説である。「伯爵家の秘密」それがバレることは即ち主人公の死を意味する。身分制社会のしがらみ、王よりも強大な敵ボス、しかも周囲は内通者によって絶えず監視され真の味方はごく少数。そんな閉塞感。その分厚い氷の壁を主人公は知恵と勇気と真心で溶かしていく、風穴を開けていく。これが爽快！こすからい小悪党も、卑劣な裏切り者も、頑ななヒロインのハートも、太陽の明るさと暖かさで溶かしてしまう。まさに人たらし無双である。そのカタルシスたるや！さあさあご一読。ハッピーエンドに向けて真っ直ぐと、氷の壁を次々とぶち抜いていく作者無双の小説である。