この物語は、学徒動員された十代の女子だけで編成された部隊が、故郷を守るために孤軍奮闘する活躍を描いた架空戦記である。
戦争に明け暮れる帝国の辺境、春波島で育った藤原真央は、陸軍の教育隊に配属される。そこで同じ班になった戦災孤児の相川桃花、名門出身のエリート候補生栗原千夏、兵器マニアの宮下優李、元不良の戦闘機パイロットの進道あかねらと共に鬼教官、橘里美の猛訓練を乗り越えて、かつて幼い自分を助けてくれた帝国軍戦車兵への憧れを胸に、戦車兵となった。
そして真央が配属されたのは春波島の防衛軍であった。同期や教官らと共に、学徒動員隊「姫百合隊」の戦車中隊長として、新兵の女の子たちを鍛えながら島を守るために戦場を駆ける。
男子だけの学徒動員隊との軋轢や、敵との戦闘を乗り越えて奮闘する彼女らの前に現れたのは、かつて帝国軍に属していながら裏切った敵将、張策林であった。
張は帝国軍戦車部隊の生みの親である皇族将軍の百合花親王と裏で手を組み、大陸の統合と列強との全面戦争、その結果としての世界平和を目指すという策略を進めようとしていた。
その為に、帝国を地域紛争から一気に全面戦争へと引きずりこむよう、百合花の率いる軍を強行介入させる口実として、百合花に援軍を求めるように里美に迫る。突っぱねる里美に張が語ったのは、張もこの島で生まれたこと、そして、帝国軍に反乱を起こした故郷の人間を殺し、自らも故郷を捨てたという過去であった。その中で真央は張こそが、かつて自分を助けてくれた戦車兵であることを知る。
戦争の拡大を目論む百合花親王、戦争と帝国を憎みながらその現実の中で生きようとする張、帝国軍内の派閥抗争など、様々な思惑が交錯する島を守る為、姫百合隊は孤軍奮闘する。
そして上陸した敵を乾坤一擲の夜襲で撃退し、陰謀によって更迭されかけた里美を奪還し、とうとう姫百合隊は故郷の島を守りきるのである。
姫百合戦記
完結日:2014年11月1日
作者:喜田 與志彦
評価:★★★★★ 4.5
話数:全25話
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:GL