悪女ファウステリアの最期 完結日:2014年11月1日 作者:黒井雛 評価:★★★★☆ 4.3歴史に名を残す、稀代の悪女ファウステリア。 彼女が死の直前に欲したものは何だったのか。 ※残酷要素、および主人公の売春要素あり ※サイコパス系ヒロイン。則天武后を意識しています。 話数:全64話 ジャンル:異世界恋愛 登場人物 主人公属性 悪女主人公 職業・種族 悪魔 時代:未登録 舞台:未登録 雰囲気:未登録 展開:ハッピーエンド成り上がり その他要素 サイコパス チート ヒストリカル ファウスト意識 ヤンデレ 則天武后モデル 女帝 差別 理不尽 注意:残酷な描写あり なろうで小説を読む
罪という名を与えられた少女・ファウステリア。彼女は生まれながらに全てを奪われ、それ故に全てを望んで悪魔に魂を捧げた。対価に得たものは、生き抜くための、そして力を行使するための知識、美貌、そして……民を欺き、英雄を殺し、王を篭絡し、国を奪う。圧倒的な力と冷徹なまでの非情さをもったファウステリアと、彼女に翻弄される人々の信念と、そして弱さ。それらが綯い交ぜになり描かれたコントラストの先、三百余年に及ぶ彼女の人生の果てに見たものとは……きっとそれもまた一つの真実だと思える結末があなたを待っています。彼女は悪人ではなく悪女なのだから。
謀略の果てに国を滅ぼす事でさえ、ただの手段の1つ。いやはや、この物語の主人公は一筋縄ではいきません。悪、悪、悪、悪。おそらくあなたが知るどんなヒーロー、ヒロインよりも純粋で自分勝手な「悪」です。嗚呼、本当に憎らしい。でも、だからこそ愛おしい…。この作者先生は、相当な読書家かつ古典好きなのでしょう。ライトではない日本語を使いながらもスムーズに、そしてリズミカルに紡がれていく文章の流れは、それこそまるで洗練されたお芝居を観ているような気分にさせられます。特に文章力に自信のない書き手の方は、必「見」の価値あり。「物語」とはどういうものかを、きっちり学べることでしょう。…さてさて、お話に戻りましょう。舞台は、とある国の王宮。題目は、憎しみと愛の復讐劇。何を憎み、誰を愛し、何を求め、誰が救うのか。『悪女ファウステリアの最期』、ここに開演!
この作品の主人公であるファウステリアは……はっきり言って極悪です。関わった全ての者を地獄に叩き落としていきます。それも、ただでは落としません……時には、これ以上ないくらい、完膚なきまでに潰します。もはや、ホラーといっても過言ではありません……しかし勘違いしないでください。これは巷に溢れているジャンル詐欺作品とは根本的に違います。とにかく、最後まで読んでください。ラストまで読んだ時の私の言葉が……(タイトルに続く)。
悪女ブームなるものが起こっているらしい。大体は、悲劇的最期を迎える運命の悪役令嬢に転生してしまった主人公がなんとか自分の惨めな末路を回避するべく行動する(もしくは行動しない)というものだろう。そういった悪女(笑)の話も面白いが、この話は違う。これは本物の悪女の話だ。ファウステリア、それは罪の娘。紫水晶の瞳を持った化け物。引くは戦略、媚びるも戦略、顧みることはしない。彼女は自分だけが大切で、自分にやさしく振舞わなかった世界を憎悪している。それはひどく個人的で、あまりに強い妄執。国を、世界を傾けずにいられないほどの。ちなみに本文を読み進める前に、注意書きのご一読は必須だ。それでも大丈夫だと感じられた方なら、十分浸ることができるだろう。さあ、ページをめくるがいい。そして堕ちてしまうがいい。残酷で美しくて、どこか悲しい悪女の物語に。