sen. 完結日:2014年12月11日 作者:白井 滓太 評価:★★★★☆ 3.9――物語は『せん』で出来ている。 話数:全6話 ジャンル:ヒューマンドラマ 登場人物 主人公属性 未登録 職業・種族 猫 時代:未登録 舞台:未登録 雰囲気:未登録 展開:未登録 その他要素 お風呂 チョコレート 注意:全年齢対象 なろうで小説を読む
主人公は典型的な文学少女。 できた姉妹にコンプレックスを持ち、内気にこもりがちな乱読家。 彼女の繊細な心を守るのは、『世界は線でできておりそこに交わらない者もいる』という諦めの価値観。そして、今は遠方にいる大好きな姉が褒めてくれた『文章を書く』ということ。 チョコレイトと飼い猫と、二人の姉と父と母。そして日記帳。それが彼女の世界のすべて。 それが、交わる線のすべて。 物語は線でできている。と彼女は言う。 いくつもの線が交わり、世界は回る。と彼女は思う。 そして彼女は不幸と交わる。 この物語は、何も始まらないし、すべてに決着があるわけでもない。 それでも、少女は生きるしかないし、生きていくことを選んだ。 線に囚われても、線に逃げられても、それでも。 だって、人生は物語ではないのだから。 タイトルに惹かれて、つい読み始めてしまいました。 とても繊細な物語です。
洗練された文章の向こうに、作者のおもいが見て取れる逸品。浅学な私個人に「文学」は荷が重かろう、と思いながら読ませて頂きましたが、挑戦して見るものですね。今、まさに筆を止めている方にこそこの作品を選択して頂きたい。文章の手本としても、物語の一つとしても、メッセージとしても、鮮烈な印象を読み手へ与えてくれる、名作である。僭越ながら、そう宣言致します。
社会生活に少しだけ距離を置き、チロルチョコやいちごミルクの甘味で自分を癒やす内向的な主人公。緻密かつ端正な筆致で磨きこまれた日常描写は、読書好きを自認する「なろう」ユーザーには、ただただ共感しかないでしょう。なにより、夜、自分の部屋で好きな読書(ゲームでもいいけど、一人用ね)にいそしもうとするときの感覚が鮮烈で、かつて自分にもあったあの時がまざまざとよみがえってきます。いいなあ……。世界からひそかに遮断された小さな隠れ家にこもる至福……。しかしそんなささやかな幸せも、実は支えてくれる大事な人がいるからこそ成り立つわけで……。短いながらも、無駄のない展開で、試練に直面した主人公の成長を見事に書ききっています。そして、最後まで読んだ方々ならわかるでしょう、この小説は、まず第一に「なろう」ユーザーのための小説だということが……!
文章が上手です!純文学的な雰囲気がある作風ですね。二万文字という短さで読者に満足感をもたせつつ内容を纏めあげた筆力が素晴らしいと思いました!最初は感想だけにしようと思って軽く読んだ作品でしたが。これは凄い作品だなと思ってレビューさせて頂いた次第です^^;また賛否わかれるところでしょうが。かなり特殊な書き方をされてる箇所があります。しかし私はこれもタイトルの『線』に合った効果的な表現だと思います。私は素直に凄い発想力だなと感嘆しました。作品を短く纏めあげる筆力と新しい表現を試みる勇気の素晴らしさに感銘を受けましたので、この度レビューさせて頂きます。是非みなさんにお勧めしたい作品です!(*^^)v