音楽で乙女は救えない

　乙女ゲームに転生した少女、真白。彼女は音楽に魅了され、音楽を一生の友とすることを決意する。　音楽を中心に勉強、恋愛を頑張る真白を支えるのは、ヒーローである紅と蒼、家族、友人である。　この作品の魅力の１つを挙げるならば、真白、紅、蒼の成長であろう。お互いを尊重し、信頼する３人の温かい関係は最初から最後まで目が離せない。もちろん、この成長は恋愛面でも見られ、次第に胸の鼓動が速くなっていく真白と共に、あなたもドキドキが止まらないだろう。２人との恋愛を全く違う展開で楽しめるのも魅力的だ。(レビュー作成時紅編終了、蒼編お試し版公開済)　この作品を通して、最近やる気が出ないという方は、真白のひたむきさに惹かれ、毎日頑張りすぎているという方は、一生懸命な真白を支える紅や蒼の優しさに癒されるはずだ。　音楽というスパイスを味わいながら、甘さもほろ苦さもある、この作品をじっくり読んでいただきたい。

タイトル通り、とても「読ませる」作品です。舞台は乙女ゲームに酷似した、或いはそのものの世界。まず開始は小学生から。丁寧な文章で少しずつ物語が進むのですが、音楽を通して成長や友情、恋愛などが緻密に織り込まれていて、日常の話であっても飽きさせない工夫がされています。それは伏線であったり、キャラクターの心境の変化や環境の変化がとてもよく書かれています。そして読み手に対する配慮が感じられる作品です。音楽についても綺麗に、丁寧かつ素晴らしい知識で描写されていて、音楽に対する作者の愛が存分に感じられます。この作品を読んでいると、普段聴きもしないクラシックを聞いてみたくなったり。それから恋愛も、個々の心情の移り変わりを時に甘く、時に切なく書かれていて見逃せないポイントです。切っても切れない音楽との関係と、それを取り巻く魅力的なキャラクター。まだ未完の作品ですが、読む価値はあります。

タイトルから察して頂ける様に、この作品は、「マシロ」「紅」「蒼」をメインに各登場人物の成長記録物語であると、個人的に思っています。あ、勿論乙女ゲー設定も生かされており、恋愛物としても極上品である。もう一度。極上である。極上の三角形です。そして、その極上の恋愛物に添えられる作者ナツ様の音楽の素晴らしい知識と愛情。細かな心情に描写も素晴らしく読めば読むほどハマる事間違いなし！甘く甘く進むのか。甘く切なく進むのか。この素晴らしい物語はまだ途中。行く末を一緒に見守りませんか？くどい様だけど最後に。この物語は極上である。