季節はゆきてまためぐる ― 夏編 ― 完結日:2014年11月25日 作者:ゆいぐ 評価:★★★★☆ 4.4大学を卒業して以来、その仲間達と数年続けている定例の飲み会をドタキャンした僕は平日とは逆方面の電車に乗り、思いがけずもいつか見た景色を辿ることになり……。八月も終わりの小さな物語。 話数:全9話 ジャンル:純文学 登場人物 主人公属性 未登録 職業・種族 未登録 時代:未登録 舞台:未登録 雰囲気:未登録 展開:ハッピーエンド その他要素 ノスタルジア 夏 季節物 恋愛要素少し有り 日常 花火 注意:全年齢対象 なろうで小説を読む
この物語は、いわゆるボーイ・ミーツ・ガールだ。それも、十年越しのボーイ・ミーツ・ガールなのである。 主人公はふと訪れた思い出の地で、かつての熱意は消え、無力感を抱えた今の自分の様を思い知ることとなる。中々にハードな書き出しだ。 しかしこの辺りで読むのをやめてしまうのは、ちょっと早すぎる。ここまではまだ書き出し。そう、この物語はボーイ・ミーツ・ガールなのだ。 ヒロインと呼ぶべきその女性は、十年の歳月を現すかのように遅れて物語に登場し、主人公と語らいながら歩き続ける。 そしてラスト、二人は来た道を戻り、そこで小さな奇跡を生む。 この奇跡がなぜ起きたのか、僕自身の勝手な想像だが、それは昨日が十年前と同じ天気だったからだろう。二人は間の一日を、十年掛けて超えてきたのだろう。 季節はゆきてまためぐる、しかし結果が同じとは限らない。これは人の成長を描いた、そんなささやかな物語だ。