評価:★★★☆☆ 3.1
人の生死を医学的に選別し、死亡宣告を行う「死生裁判士」、別称「選別者」のひとりである若き医学者と、新型感染症を患った少女。立場の違う二人の見える世界は、やがてひとつの物語となる。思い込んできた生命観とは何か。知らされざる真実とは何か。物質世界とは異なる、独立した時代と世界で起きた変化の風の行方は――
(あなたのSFコンテスト参加作品。Science・Fiction、Sickness・Fantasy)
話数:全13話
ジャンル:SF
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
彼はいつも死に際を観てきた。 あまたもの生を否定し、死の絶望の淵に叩き込んできた。 人びとは彼を呪う。 死神ゼクロス。彼の名前は多くの人の嫌悪の情とともに。 だが忘れないでほしい。彼は好き好んで人を死なせるわけではないということを。 病いの少女の生に、真摯に向き合い、傷つきながらもその生を尊重しようとしていたことを。 彼は死なせたくて死を宣告するのではないのだ。 死神。それは死に瀕したものへ生の可能性を問う者。 死神。それは生命崇拝の妄信に銃口を突きつける者。 死神。それは生命を作り出した『神』に逆らう人間。 死無くして生は語れず、また生を司る意思、ないし『神』無くして死を語ることは叶わないのだと。 さあ、問いかけろ。 本当に生きたいか? この『死神』のまえに、あなたは生を肯んずることができるか?