評価:★★★★☆ 4.3
名波千紗14歳、中学二年の初夏。はじめての失恋をした。相手は幼なじみの片瀬。
失意の千紗は、むかし灯台のふもとに埋めたタイムカプセルを、ひとり、あばいていた。カプセルにみんなで入れた手紙――それぞれの「好きなひと」を書いた手紙を開く。片瀬は千紗の名前を書いていた。
どうしてこうなった? 中学に入ってあたしが地味キャラになったから?
ぐるぐると想い悩む千紗の前に、一匹の黒猫があらわれて、不思議な石を落としていった。
巻き戻し。早送り。ちいさなたまご型のひらっぺたい石には、英語でそう書いてある。なんのリモコン? 片瀬と仲のよかった小学校時代に戻りたい千紗がそっとボタンを押すと、ほんとうに、時が巻き戻って……?時をあやつるリモコンで、スクールカースト底辺の地味キャラ脱出をはかる千紗だけど、思ったようにはいかなくて。恋、自分らしさ、ほんものの友情。ほんとうに大切なものは何だろう?
「カクヨム」にも投稿しています。
話数:全14話
ジャンル:SF
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
「運命」はあらかじめ定められたものなのだろうか。それならば恋をする相手も決まっているのだろうか。赤い糸? ほんとうにそんなものがあるの?「運命」を書き換えたくて、彼女は時間を跳躍する。手に入れたいものは、たしかにあった。そのかわりになにを失ってもいいなんて、思っていたわけじゃないけれど。どうしても手に入れられないものってある。それを望むあまりに、失わなくていいものまで喪うところだった。だから幾度も「過去」を繰り返したことは、けっして無駄なことではなかった。大切なものがなにか、気づくことができたから。切なくて爽やかな余韻のあとの「番外編・恋花火」の甘酸っぱさに嬉しくなりました。その後のふたりが「赤い糸」で結ばれていますように。