評価:★★★★☆ 4.2
僕は死にたがり。
唐突に、理由もなく、自分を殺したくなる。
あいつは殺したがり。
唐突に、理由もなく、他人を殺したくなる。服毒自殺を図って、ものの見事に失敗したあの日。クラスメートが全員殺されるというショッキングな事件に巻き込まれたあの日。
死にたがりな僕は殺したがりなあいつと出逢った。これは僕とあいつの物語。
死にたがりな僕が、死にたがりじゃなくなるまでの話。
心がじんわり温かくなる更正物語だ。
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:シリアス
展開:未登録
連日繰り返されるニュースは、ぞっとするようなものばかりで。それでもいつしか液晶に向けて「あぁ、またか」が口癖になる。チャンネルを替えて笑い出す。―― 一体この世界の、どこが崩れていないと断言できるだろう。死にたがりを認める訳じゃない。殺したがりを肯定する訳でもない。だけど、歪で間違いだらけで道を外れたイレギュラーな彼等は、それでもやっぱり悲しい位に人間だった。この物語はただの血生臭いサイコなだけの、猟奇的なものではない。逃れたくても逃れられない「僕」が自身を見つめ直し、世界を見つめ直し、答えを探す物語。痛々しい程一直線で、薄汚れた純粋な主人公に、不覚にも心を奪われる。ラストは貴方の目に、どんな風に映るだろうか。「僕」と「あいつ」、それぞれが住む「あっち側」と「こっち側」は隣合わせでも背中合わせでもなく、たった一つ同じ世界。――そしてきっと、私達のこの世界も。