評価:★★★★☆ 3.8
『人形』
……殺戮の為の人形。そう彼女達は呼ばれていた。
大陸最大の軍事国家、西部連邦人民共和国に集められた戸籍の存在しない孤児達は、互いに殺し合わされ、薬と魔法で肉体を変えられ、権力者に従順な意志を持たない人形へと造り替えられてしまった。
生き残った二十体の暗殺人形は、最終試験として、道化師と呼ばれる流れ者の暗殺を命じられる。
ただ共和国の為に戦い壊れる。それだけを理想と刻み込まれた少年少女たちは、”男の浪漫”を求める彼との出会いによって「人間であること」を取り戻してゆく。茨の道の果て、運命を切り開くことはできるだろうか。
『温泉』
自ら育んだ意志と絆で、指揮官ロゼットの元一丸となって戦い、辛くも生き延びた少年少女たち。保護された豪華ホテルで道化師と呼ばれる恩人、ニーダルと再会する。
彼に想いを寄せるロゼットの恋の行方は? ホテルの主である異世界人、紫崎由貴乃の目論見とは? そして、せっかくだから女湯を覗こうとハッスルする少年達の願いは叶うのか? 新たな戦いが、今始まる!
(※ 事件解決後のコメディ色が強めな後日譚、第二部『温泉』編と統合しました)
話数:全40話
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
少数民族ゆえに、殺戮人形と呼ばれる残酷な暗殺者になるしかなかった20人の少年少女達。少年少女達は道化師と呼ばれる男ニーダルを暗殺しようとするが、返り討ちに。しかし、このニーダルは普通の男ではなかった。なんと、自分を殺しにきた20人の子達と共同生活を始めてしまうのです。この粋な行動の妙から、物語にぐいぐいと引き込まれていきます。そして緻密な世界観、卓越した文章力、群像劇でありがなら、登場人物が一人一人が個性豊かと描かれ、それら全てが渾然一体となって織り成す物語は、まるで壮大なタペストリーを見るようです。濃密で深いファンタジーを味わいたいのなら、ぜひとも、この作品を読んで頂きたい。
いわゆる正統派バトルものライトノベルが好きな方は、是非読んでください。 面白い小説が無料で読めることに感謝できること必至です。 キャラクターが魅力的で、世界にぐいぐい引き込まれます。主人公の男ニーダルには、身体をはって戦う男の魅力がありました。 サブタイトルは、コメディー調ですが、内容はシリアスなバトルファンタジーです。 とは言っても、理不尽にダークでもありません。良質のエンターテイメントです。お勧めです。
まだ、「人形」の方しか読んでいませんが、読んですぐ、書きたい衝動に駆られました。理由の1つは、設定の深さ。時間軸が様々なところで移り、そしてそれが上手く絡み合う構成もさすがの一言です。国の関係や情勢もリアルに練られていて、逆に整理の必要がある位です。しかし、やはりそこには「世界」がある。これを実感したとき、気がつけば時間を忘れて読みふけっていました。もう1つは、「人形」の心。自分は道具だという自覚があるなかでの、「人間」としての感情。その葛藤がリアルでした。所々で笑いもあり、時に楽しく、時に真剣に、いい読書ができる作品です。皆さんも読んでみては?
『七つの鍵の物語』このシリーズに共通して言えることは圧倒的な世界観とキャラクター配置の旨さですのぉ。シリアス……その言葉だけでは収まりきれないほどのストーリー構成と読み手を引き込む技術は秀逸!そして、物語に『人形』と『温泉』この二つのキーワードを踏まえて読んで頂ければ、更にこのシリーズの世界観が好きになること間違いなし。そして、つぶさに仕込まれているオブラートなユーモア感……評価されるべき的要素をふんだんに含んだ作品ですのぉ。皆様、是非とも読んでみてください!
『七つの鍵』を巡る戦い剣あり銃あり魔法あり機動兵器あり――スリルあるバトル国と国、組織と組織、再会と復讐――緻密に組まれた歴史ドラマあっさりファンタジーには食傷気味という方にお勧めしたい本作。シリーズもの、という前提上決してとっつき安いとは言えないまでも、芸術的にまで絡み合い混ざり合い膨らんでいく当シリーズは読めば読むほど味わいが増していきます。【人形】20体の『暗殺兵器』として育てられた少年少女と一人の冒険者との出会いと戦い。決して人は他者に操られるだけの存在ではない!絆、葛藤、そして未来へとつながる感動の物語。【温泉】異界から訪れた賢者が再会したのはかつての同郷の後輩。2人を分かつのは後輩が歩んできた凄惨な人生。賢者は智略を巡らせ自らの信じる希望の為あらゆる手を駆使し戦う。シリアスだけでなく、笑いあり感動あり、秋の夜長に是非どうぞ!