前衛的グライダー 完結日:2015年4月8日 作者:劉之介 評価:★★★★☆ 4.1 女神の救済を目指すため、意志の力で動く「AGグライダー」を操縦する少年。物語全体を流れるシュールな時間と、少年に潜む大きな影が、話の展開に小さな変化をもたらしていく。そして……ラストに明かされるグライダーの真実が少年を大きく変えていくこととなる。 話数:全12話 ジャンル:アドベンチャー 純文学 青春 登場人物 主人公属性 男主人公 職業・種族 少年神 時代:現代 舞台:パラレルワールド 雰囲気:シリアス 展開:未登録 その他要素 グライダー 前衛的 文学 機体 群像劇 注意:全年齢対象 なろうで小説を読む
何かを決意したとする。何でもいい。とにかく何かを心に定め、引き留めたとする。その場合、決意した彼は、それについて思考し、吟味し、ついにそれに即した行動をする。その「想念」と「行動」の一連の流れは、人によっては瞬間的なことかもしれない。思いついたことをすぐに行動できる人は確かに存在する。しかし、「想念」を「行動」に移すまで、多くの人は、たくさんの壁を乗り越え、それこそ無限の海を渡っていくのではないだろうか。「想念」が高度なものであればなおさらだ。より高く、危険なグライダーを試みることになる。この小説ではその危険な冒険が、非常に繊細に、時に大胆に描かれている、ように思う。これはあくまでぼくの解釈だから、人によってはこの物語を別のものと捉えるかもしれない。けれどもぼくは、誰かを好きになってその思いをついに告白する、その小さくも大きな心の物語を、少なくともここで垣間見たのである。