評価:★★★☆☆ 2.5
世界は……私がここに存在していたときには、すでに水没していた。私は、世界に存在し始めたときから、ずっと旅を続けている。
そして、旅をしながら、「どこから来て、どこに行くのか?」いつもそればかりを考えていた。星が生命の半分を消化したある日。見知らぬ一人の男が、私の問いに答えてくれた。
「それは、もう一人の自分を探すためさ」もう一人の自分。
星の意味や風の匂い、森の静寂、潮の満ち引き、そして自然を取り巻いた不思議な物語の数々。人が忘れてしまった大切で多くの物語は、自然の中に還って人々に生きて知ることへの情熱を抱かせ続ける。その多くの物語の終点にいるものがもう一人の自分らしい。
「気付いたかい?世界が水没して、不思議な力が再び世界を満たし始めたことを……」
男が言うには、動物と人は同じ言葉を話し、願えば人は動物になれたし、動物は人になれたそうだ。
「それは言葉が物語を創造する力を再び取り戻し、命の物語へと導く役目を思い出したからさ」
僕らは四足の動物になり、未だに水没していない荒野を駆け抜ける。その世界において、私の姿は小さな黒猫だった。
雰囲気:ほのぼの
展開:未登録
注意:全年齢対象