評価:★★★★☆ 4.1
(第一章冒頭に、表紙としてキャラクターのイラスト追加)
恭介が目を覚ますと、いつのまにか知らない場所にいた。迷子だとか、遭難だとか、そんな生易しいもんじゃない。神隠しにあったようなものだった。なにせ、見まわしたって建物なんて目に入らない大自然。こんな場所を恭介は知らないのだ。
訳もわからず、ふて寝を始める恭介。そんな彼の耳に誰かの助けを呼ぶ声が聞こえた。慌て助けに行く恭介に不思議な現象が起こる……。
気が付くと恭介はとある孤児院にいた。その孤児院で恭介はウィノアという少女と出会い、この世界が自分知っているものではない、全くの異世界であることを知る。
行き場所を無くした恭介は孤児院に居候することになるが……。
異世界を舞台に繰り広げられるコメディ&シリアスファンタジー。
雰囲気:シリアス
展開:未登録
その他要素
注意:全年齢対象
冒頭はまさに異世界ファンタジーの王道。サモンナイトや今日からマ王、ゼロの使い魔といった王道作品が好きな方は楽しめると思います。また、視点の使い方が上手です。主人公の二人の固有視点、時間軸を変えて語られるサイドストーリーなど、物語に入り込める工夫がしてあります。伏線らしきものも多く、普通にライトノベルをよむ様な感覚を感じました。所々で勃発するアナベルとリリーナの一方的な喧嘩パートの描き方は輪をかけて独特です。まさかファンタジーの比喩に艦載砲を見るとはおもいませんでした。シリアスとコメディー、どちらも楽しめます。
ファンタジー作品にありがちなのが、何でもありな設定。この作品では、ファンタジーが、深い設定の上に成り立っています。ファンタジーでありながらリアルを追及している点には惹かれました。そして、戦闘のシリアス、日常のコメディー、キャラクターの重い過去に恋愛描写。これだけ異種の属性をもちながら物語が崩れていない。久々に面白いと思わせてくれました。特に、針金虫は意表をつかれました。
最初に、書き方が整っているので、横より縦のほうが読みやすいです。世界設定がしっかりしていて、読みやすく、想像が広がります。戦闘描写は面白く、魔法の描写がかなりシリアス。コメディータッチとシリアスタッチを使いこなせていて、波のあるストーリーが楽しめる。作者さんによるとライトノベルくらい書くとのことなので、今後の展開に期待します