評価:★★★★☆ 4.4
この小説はアンチ田舎小説です。
あくまで小説なのでこういうことを考える人もいるんだな、と思ってお読みください。最初からケンカ売るつもりの人はどうか読まないでください。私もケンカ売るために小説を書いているわけではありません。
田舎礼賛の陰で田舎暮らしのつらさにあえぎ、田舎に大幻滅して都会に戻る人もまた多いのです。田舎暮らしのつらさ、それは田舎暮らしの不便さをいっているのではありません。それはずばり人間関係の荒っぽさと煩雑さと閉鎖性と妬みと僻みからくるものです。
もちろん田舎側の人間性だけではなく、田舎社会に入り込んできた主人公のモナカ夫婦=もとからいた田舎人間にとっては、「よそ者」 との相性もあったかもしれません。
田舎は田舎のルールがあり、合理的な都会から来たものにはなじみにくいものもあったでしょう、逆に理不尽ながらもこのまま波風をたてずに郷に入れば郷に従えを地でいき、「我慢して」 暮らす人もいるでしょう。
とにかくどこに住んでいても問題になるのは、人間関係の難しさです。
人間関係には規格やルール、これが正しいありかたというお手本もありません。ケース・バイ・ケースなのです。
この小説はモデルがいます。モナカちゃんの経験を踏まえた静かながらも壮絶な、ド田舎大嫌いのストーリーです。田舎を賛美しまくる人からは絶対に文句いわれる確率100%! 私も余計なエネルギーは消耗したくないのでそういう人はどうか最初から読まないでください。以上よろしくお願いします。
なお、作中の地名、人名等固有名詞は架空のものです。重ねて念の為申し添えておきます。
話数:全47話
ジャンル:ヒューマンドラマ
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
田舎に係累がなく、都会生まれ・都会育ちの自分にとってはホラーのように恐ろしい世界でした。現代の日本の話?とにわかに信じがたいほどですが、ほかの方のレビューやSNSで散見される地方出身者の体験談を聞くに、現実に存在する世界なのでしょう。「つけびして煙り喜ぶ田舎者」の事件を思い出しました。上手に価値観を更新できた田舎は若い世代と新しい気風を取り入れて存続し、できない田舎は決意の固い移住者すらも逃げさって静かに消滅していくのですね。貴重なルポをありがとうございました。
メディアで取り上げられる際に、「自然の美しさ」「スローライフ」や「牧歌的側面」のみをクローズアップされがちな『田舎』の現実的な側面をわかりやすく切り取った本作。決して長閑なだけではない日本の過疎化地域の閉鎖的な景色と、農業という「生活環境と職場環境が同一の業種」で、隣人トラブルが起こったらどうなってしまうのか?という、都会に住むと察しづらい事実を、Iターンした家族を中心に鮮やかに描いている本作は、最後まで一気に読んでしまいたくなる勢いがあって、とてもおススメです。特に田舎暮らしに興味がある方には、是非読んでいただいた上で、慎重に田舎暮らしを検討していただきたいと思います。
大げさに書かれているようですが、このお話には何の誇張もありません。畑や田に農薬を流し込む、気に食わない家の納屋に火を放つ。田舎の人間は自分達が気に食わないと本当にやりますよ。あの人達、特に老人達はよそ者を同じ人間として見ていませんから。今は田舎暮らしブームで多くの人が田舎に夢や希望を抱いて田舎に移住していきます。でもその内の大多数が、このお話の一家のような思いをして都会にトンボ返りしていきます。何故でしょう?こういう事が現実に起きているからなんです。メディアが無責任に宣伝する癒しのある暮らしとか人と人との優しい交流とか本当の田舎にはそういった事はまずありえないと思ってください。みんな田舎の人間の、特に老人たちの狡猾さを知らな過ぎます。「田舎の善良な人達」なんて夢の中だけのお話なんです。どうか田舎と田舎者の恐ろしさというものをこのお話を通して学んでください。
テレビや雑誌では、Uターン、Iターンについての情報が溢れています。それもなぜかポジティブな情報なばかりです。「田舎って自然いっぱいでキラキラ」「自給自足サイコー」「田舎の住民は素朴で優しい」「「だからみんな田舎に移住しようよ!」」でもよく考えてみてほしいです。最高の場所なら宣伝しなくてもどんどん人が来るはずです。とにかくこの物語を読んでください。霊よりゾンビより、村独特の価値観で生きている人間の方がおそろしいこと請け合いです。ちなみにこの作品に書かれていることに誇張はほとんどないです。なぜなら私も親族が田舎に住んでいるので、内情はわかりますから…。残夏の項、リアルにゾッとしたい方におすすめです。