評価:★★★★☆ 3.7
山麓の田舎町の若き警備隊員リオンは、遅刻の罰として郊外の森の巡回を命じられる。巡回中、突然左目に激痛が起きたリオンは、魔物――バーラムに襲われるも、駆けつけた魔導師見習いの少女フィオに救われる。
バーラムは、町の司堂に保管されていた用途不明の鍵を狙う何者かが、差し向けたものだった。
町のバーラムを倒したフィオの師匠クロードは、鍵の秘密を探るために、カナン領へ向かうと宣言。なりゆきで彼に同行することになったリオンは、人生で初めての旅に出る。
それは、自分自身に秘められた謎を解く旅の始まりでもあった。
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:王道
注意:残酷な描写あり
最近のファンタジー物は最初から主人公が何らかの突出した能力を保有していて、それで敵をバタバタと倒すパターンや、主人公の周囲が美少女ばかりという、羨ましい……いやけしからん物語ばかりです。この物語はそういう話しか読めない方にはオススメ出来ません。この物語の主人公であるリオンは、平凡な少年。これまで可もなく不可もなく、流されるままに生きてきた平凡な少年です。そんな彼がとある事件からやがて世界の命運に関わっていきます。その物語の展開も素晴らしいのですが、筆者である七ツ枝さんの物語の根幹である世界の設定、そして風景描写の緻密さには圧倒されました。まるでそこにいるのでは? と思わせる程です。勿論、リオンの周りのキャラも魅力的。ヒロインのフィオは少女らしい純真さに可憐さを持ち、師匠たるクロードは傍若無人ながらも時折見せる優しさが憎いツンデレ中年です(笑) さぁ、王道は如何ですか?