はぐれ者――闇に蠢く男たち―― 完結日:2015年6月19日 作者:赤井"CRUX"錠之介 評価:★★★★☆ 4.4 裏社会に蠢く男たちを描く、ノワール群像劇です。ヤクザ、チンピラ、ロクデナシ、キチガイ、変人……みたいな人しか出てきません。明るく楽しいストーリーでもありません。四人の男たちが、地の底を這い回りながら生き延びようとする話です。 話数:全13話 ジャンル:ミステリー 青春 登場人物 主人公属性 未登録 職業・種族 未登録 時代:未登録 舞台:未登録 雰囲気:未登録 展開:未登録 その他要素 ノワール ハードボイルド ピカレスク 不快な描写あり 友情 犯罪描写あり 群像劇 注意:R15 グロ描写あり 残酷な描写あり なろうで小説を読む
まるで一流のクライムサスペンスを見終わったかの様な余韻を感じます。この作品はこれだけでも問題なく読めますが、もしも機会があるのならば、「凶界線――ボーダーライン」を読んでおくと、色々な設定が繋がりますし、とあるキャラの変貌を楽しめるはずです。物語は、一言でいうと「偶然」から「必然」へ。ある出来事で心を喪失した少年が、とある事故に遭遇。そこから様々なキャラ達と相対し、クライマックスへと至る。序盤はゆっくりと進む展開だったのが一転、終盤は一気呵成のフルスロットル、疾走感。まるで最高の絶叫マシーンの様なスピード感。そして迎えるのは裏社会に生きる彼等の各々の選択に相応しい結末。その結末として、ある人物の人生が闇の底へ堕ちる。だが彼が生きる為にはそれこそ必然だったのかも知れない。だからせめて祈ろう、僕達の人生が彼らに重ならない事を。僕達の人生が平穏である様に。
この作品のなろう系では珍しいダークな世界観と心理描写はとても素晴らしいですなぁ。ストーリーが流れていく中でキャラクターの根底的な立ち位置がしっかりしており、そこからキャラクターの行動原理が読み取れて、推測していく楽しみがたまらないですなぁ。独特の世界観やセンスにゾクゾクする作風、読み進めれば進めるほど作品に引き込まれてしまいましたのぉ。皆様、五月の夜長に『はぐれ者――闇に蠢く男たち――』を読まれてみてはいかがでしょうか。そして、作品をさらに読み込みたい読者さまは『凶界線――ボーダーライン――』もお勧め致します。