評価:★★★★★ 4.5
「倫太郎、おぬしは音楽の力で戦争を止めるのだ」◆メイヴと名乗る妖精にそう命じられ、城咲倫太郎は困惑を隠せない。倫太郎はピアニスト志望に過ぎず、しかもアルビオン王国では異邦人でしかなかった。◆歴史の波はうねり、倭国とアルビオン王国の間で戦端が開かれようとしていた。倫太郎は、戦争というゲームを巡る妖精たちの思惑に飲み込まれ、みずからの音楽を見詰め直してゆく。
話数:全33話
ジャンル:その他
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:近代
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
「其は音楽を嗜好する病」 ピアニストを目指しながらも何かが足りないと評されてきた主人公:城崎倫太郎。病気の姉を抱え、異国人という理由で真っ先にクビにされ、コンクールに賭けるも先日まで姉に罵倒されていたはずの青年による天才的な演奏に打ちのめされてしまう。 諦めかけていたその時、突如現れた少女が甘い契約を持ちかけた。―この蜂蜜酒を飲めば、音楽的才能を与えよう。代わりにこの儂の恋人となれ。 ズルは嫌だという倫理と誇り。従えば姉を養えるという誘惑。葛藤の末、蜂蜜酒を飲み干した倫太郎は大成功を収めた。気持ちは晴れず、急激に豊かになったわけでもない。だが確実に、変わった。 一方、町でも「音が聞こえる」と人が狂暴化する現象に遭遇し… わかり易くも単調ではない文章、丁寧な心理描写、ドラマティックなエピソードと魅力ある小説。繊細で美しいメロディが、感動が、こちらにまで伝わってくるような良作。