評価:★★★★☆ 4.1
それが決して聴こえてくる筈のない部屋から、深夜に響くヴァイオリンの音色。バッハのパルティータを奏でるのは、人か悪魔か? →「屋根裏の演奏者」。ダダイストを自称する有力者たちの秘密クラブに、怪盗からの予告状が届いた。→「黄金の聖天」。「アリスが死んでいるわ。鏡の家で」……高尾山、小仏峠の別荘が、何者かに乗っ取られていた。やがて起こる瓶詰めの密室殺人! →「瓶詰めの蝶々」。無愛想で三白眼で顔色がよくない、家政婦探偵・勅使河原美架(てしがわら みか)が摩訶不思議な謎に挑む、連作本格ミステリー!
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
内容はここでご紹介するのも意味がないのでさておき。見所はなんといってもその濃密で繊細な描写です。冒頭から緻密に、重厚に描写された情景がその作品世界を眼前に幻視させてくれるでしょう。読みやすいながらも各々の人物が巧みに描かれていてどっぷりと浸かれます。 そしてストーリーに作者様の知識の深さが滲みでております。楽器から歴史、料理に至るまで幅広い嫌味にならないさりげない解説がどこまでもリアリティーを醸し出します。気づけば勅使河原さんの料理に気を取られていたりと推理物におさまらない魅力があります。それでいながら無理のないトリックと人物たちの個性と感情の詰め込まれた本格の二文字に違わぬ一品。 「推理物は人がバタバタ死ぬから……」などと食わず嫌いでいるのはもったいない。まずは一話。その文章と風変わりな家政婦さんの魅力に魅せられてしまえばほら、そこが入り口ですよ。