或る少女の肖像 完結日:2015年5月28日 作者:Lis Sucre 評価:★★★★☆ 4.4フランシス・ルシエは歯の浮くような戯言ばかりを口にする貴族の青年画家。そんな彼のモデルになってしまった美少女アルメルは、今日も冷静に耳を塞ぐ。「ねえ、アルメル。人間が生きていくうえで、なくてはならないものとは何だと思う?」十九世紀末パリが舞台のラブ・ロマンス。 (執筆期間:二〇〇四年十月~二〇〇七年十月) 話数:全15話 ジャンル:ラブコメ 現実世界恋愛 登場人物 主人公属性 未登録 職業・種族 貴族 時代:近代 舞台:未登録 雰囲気:未登録 展開:未登録 その他要素 パリ ヒストリカル フランス 同性愛 孤児 年の差 日常 画家 美少女 肖像画 身分差 注意:R15 なろうで小説を読む
圧倒される美を前にしたとき、人は一時語るべき言葉を見失います。ゆえに私も、この奥底から湧き上がる感情をどんな言葉で表したものかと、困り果てています。それでも今、密やかにうち震え止め処なく広がりつづけるこの心を、お伝えしたくてたまらなくなったのです。どれだけの時を空けて再読しても、瞬く間に絵画的な世界観へ沈みこみ、なんどでも魅了される――そういう深みをもった作品です。それでいて、なにがこんなにも私を虜にしたのか、具体的な説明はできそうにないのです。一癖ある魅力的な登場人物、知性的でユーモラスなやり取り、ほどよく巧みなミステリ要素、これぞまさにラブロマンスという色気、……賞賛すべき点はいくらでもあるのですが、あえてひとつ述べるなら、その上で「文が生きている」ことに感嘆いたしました。瑞々しい文章に彩られた、十九世紀末フランスの芸術的ラブ・ロマンス。――大人の女性に、ぜひ体感していただきたい。