評価:★★★☆☆ 3.3
太平洋戦争末期、種子島東方の沖合いで作戦行動中だったアメリカ海軍空母エンタープライズは二十数機のカミカゼの襲撃を受けた。直衛戦闘機と対空砲火によってほとんどを撃墜したものの、ただ一機だけ残ったカミカゼは雲に隠れながらどこまでも追いかけてくる。やがて、カミカゼはエンタープライズに狙いを定め、一瞬の隙をついて果敢に急降下してきた。エンタープライズは狂ったように対空砲火をあげる。エンタープライズ艦長タイラー大佐は、自分の魂が闇の深淵へ道連れにされてしまいそうな恐怖を覚え、残酷な自殺攻撃と大量殺戮《たいりょうさつりく》を生み出した人間という存在について深く考えこまざるを得なかった。
話数:全3話
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:昭和
舞台:未登録
雰囲気:シリアス
展開:未登録
注意:全年齢対象
特攻モノといえば、特攻隊員となった青年の悲哀と運命を描くのが定番だが、『祝福を遠くはなれて――エンタープライズ、カミカゼの奇襲を受く』はアメリカ軍側の視点から、神風特攻隊の攻撃を受けた人々のとまどい、動揺、心の傷を描いた点がミソだ。戦争を乗り越えて人間にとって大切なものを求めようとするタイラー艦長の姿勢にも好感がもてる。カツ丼大盛りを平らげたように、ガツンとくる小説。