評価:★★★★☆ 4.2
口の中に砂が混じる。
ここはどこだろう……自分は何なんだろう。
わからない。けど、帰ろう。帰る場所はわかるから。『一章』
記憶喪失の冒険者アンドリューは久々に第二の故郷へ帰ってきた。
恩人との再会を喜ぶのも束の間に、恩人の娘が誘拐されてしまう。
彼は迷わず銃を取る。彼女を助けるために。『二章』
姉と二人暮らしのアンドリューは才能の壁に苦しんでいた。
しかし、苦悩の連続の中で目指すべきもの(ドラゴン)を見つける。
彼は自身の目的を叶えるため、未来に向かってほのおよ、と呟く。『三章』
アンドリューには敬愛する人がいた。それは海洋国の女王様だ。
女王様の為、孤児院の手伝いをしながら日々奮闘するのであった。
波は今日も穏やかに揺れている。『四章』
アンドリューは今の生活が気に入っていた。
喧嘩は絶えないものの、馬が合うお爺さんと優しいお婆さんとの三人暮らし。
そこに一人の住人が加わった。名はアンゼ、可愛らしいアンドロイドの女の子だ。
日々は回り続ける。彼は喜びと少しの戸惑いを胸に、今を生きる。『五章』
好きなものは、酒と女に、戦い。
弱肉強食の世界で、主人公は快楽主義者となった。
生きることだけが目的の彼は、今日もまた酒と女を喰らう。『最終章』
終わったはずの戦争に巻き込まれたアンドリュー。
彼は約束を果たすために、自らを殺した。
この行いが決して間違いではないと信じて。※お好きな章からどうぞ。
7/11日に無事完結致しました。ありがとうございます!
スマホ × 電車=デス・ゲームもよろしく!
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:シリアス
展開:未登録
この物語の仕掛けは、読み進めていくうちに明らかになる。そこにあるのはアンドリューへの運命による理不尽な仕打ちと、打開することの出来ない悲劇だ。 そして、物語は完結を迎えても、アンドリューの運命に自由はない。それでもアンドリューは戦い続けるのだろう。 この物語の根底にあるのは、周囲の人々の優しさであり、アンドリューがあきらめずにもがき続けたのは、そんな暖かい輪の中に帰るためであった。その輪が、その暖かさが、この悲劇に与えられたほんの少しの救いである。 個人的には、武術国、魔法国、機械国、中央国の人たちは全て知り合ったのではないかと思う。その上で、皆アンドリューの戦いを支えたのではないかと、そう期待してしまう。 読み終わったとき、アンドリューの運命に思いを馳せるとき、彼のこれからの戦いに幸あらんことを、彼と周囲の皆に幸あらんことを強く願わずにはいられない、そんな作品である。