評価:★★★★☆ 4.2
大帝国の皇女として生まれながら、その身に宿す強大な神力のために隠され、孤児として育てられた少女麗蘭。己が出自を知らされ皇宮に帰還した麗蘭は、敵国に捕らわれた妹姫を救い出すため、仲間と共に旅立つことになるが……?
若き天才将校、神の血を引く高貴な美青年、力と色に溺れた英雄、焔の如き女傑、危うげで妖艶な黒巫女……神に愛でられし美貌の少女が、様々な敵、味方と出会いながら巨悪に立ち向かう、和風・中華色の濃いファンタジー。
(※挿絵は作者の友人「豊代さや」さん作です。(★)が付いている回は挿絵有。)
(※シリーズwiki設定集→http://seiansenki.wiki.fc2.com/)
話数:全164話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
未だ見ぬ美しき妹の、新芽のような瑞々しい日々は、母なる祖国の為、時の止まった如き器に封じ込められていた。抗うことの出来ぬ宿命を受け入れた麗しき少女は、いざ旅立つ。同じ想いを擁いて流れに身を投じた、聡明で貴なる者達と共に。人として高みを翔け、又、人ならざる力を宿した美麗な獅子達は、しかし過去の苦悩に耐え、己が道を切り開こうと大いなる力に対峙していた。二つの大国の運命を描いた壮大な物語。それはまるで、二人の神の断ち切れぬ鎖を具現化したかのよう。暗く凪いだ退屈な貴方の海に、小さな波を起こし、やがて大波を刻み込む。静かながら熱く滾る大作です。優美な世界にその身を浸して下さい。
本日完結したこちらの作品。 精密に作り込まれた東洋ファンタジーです。 縦読みのほうが圧倒的に雰囲気を味わえます。 普段は使わない(目にしない)単語が多々出てきます。辞書を引かねば正確な意味が解らないこともあると思います。 全ては、作者様が創り上げた世界観の為。徹底してカタカナを使わず、美麗な単語が作品を彩ります。 主人公は、気高く美しい姫君。けれども華やかな暮らしをしていたわけではありません。彼女に課せられた使命は重いのです。姫だというのに、汚れながら駆けずり回ります。 これは、彼女の”成長”物語。 成長を促す為に、もしくは糧として心痛な事件が起き、挫けながらも、果敢に立ち向かっていきます。 全ては、螺旋。 囚われ、抗えないソレは、彼女に這い寄ります。 読み終えた時に謎が浮かんだら、それは作品の虜になったのかもしれません。 続編を希望します。
この小説は、読者をかなり高めの年齢層に想定して作られている。古風な文章はともすれば読みにくくも感じられ、独特な世界観は読者に対して容易にその全貌を見せようとしない。読者はこの作品を読むに当たり、それなりの経験値を要求されるに違いない。しかし一見難しげな作りの当作は、じつは驚くほど丁寧に王道を歩んでいたりする。主人公麗蘭は、物語の主人公らしく特別な血筋や数奇な宿命をもつものの、当初は特別な力を持たない非力な少女でしかない。そんな少女が旅を始め、仲間とめぐり合い、徐々に力をつけて運命を切り拓いていくそのさまは、まさに王道中の王道だろう。麗蘭の可憐なキャラクターと、それに似合わない努力型の主人公像のミスマッチがもたらす螺旋の渦。脆く儚く、強く毅い物語。なろうユーザーのみなさまには、ぜひご一読していただきたい。
これまでなろうで読んできた作品の中で、和風と中華が濃い文章はまさにこれだろう。古風な雰囲気、いや独特な雰囲気をかもし出し、それでいて読む人をこの世界観に引き込む。 宿を背負った主人公がどのように囚われた妹を救うのか、楽しみであり、それまで現れる敵をどうやって撃退するのか。 なろうにはなかなか見つけることができない和風ファンタジー。 現代や日常、またはラブコメ、ハーレム。 これらに飽きてきている人々にとってはとても刺激的で、思わず次へと読み進めてしまうだろう。