西暦2150年。
22世紀も折り返し地点となったこの年、地球上で人類同士の戦争は完全に消滅した。
介護用ロボットの技術を応用して生まれた軍用特殊大型二脚ロボット完成のよる、人類の長年の夢であった巨大ロボットの実現と、人の手を介さない自立兵器の技術の完成により、わざわざ人が戦う必要がなくなり、軍は自動的に縮小し始めた。
そしてその二年後、ロボット技術において最先端に立ち続けていた我が国日本の提案により、ある計画が世界単位で進み始めた。全生命の地下移住計画である。
すべてを地下に移住させて地上を無人にし、そこを無人兵器たちの戦場に変える。人的被害も物的被害も存在せず、無人兵器同士の代理戦争。各国がそれぞれの技術で作り上げた巨大ロボット同士を戦わせて勝敗を決める。
かつて放送されていたアニメから得た発想ではあったが、まだ散発的に続いていた戦争による被害は見過ごせない物があり、それを完全にゼロに出来るその提案は実に魅力的であった。
すぐさま世界中で地下都市が建設され始め、いずれ始まるロボットバトルのルールや規格の統一等が進められた。
半年後、ある程度やりやすい土壌が整っていたロボットバトルの準備が整った。
そしてその一年後、地下移住計画開始の目途が立ち、一部の権力者たちが一足先に地下へ移住を開始し始めた。
しかし、その時異常が発生した。
世界各国から集められた天才たちがプログラムしたロボットバトルのジャッジシステム【URANOS】。このシステムがある限り、世界中のロボットは指定された相手以外に対する攻撃は出来ない。
だが、このシステムが突如何者かのハッキングを受けて暴走を始めた。
攻撃対象が敵国ロボットでは無く、一般市民を含むすべての人類に設定されてしまった。
それと同時に【URANOS】の制御下に置かれていた世界中のロボットが人類に向けて攻撃を開始。この攻撃で【URANOS】を完成させたプログラマの約半数が死亡。外部からのハッキングを防止するべく常にセキュリティを進化させ続ける【URANOS】を止める手段は消滅した。
そして事件発生から二か月後。地下に避難したものの、両親とはぐれ政府の援助を受けて生活していた高校生の一真は、街角で一枚の政府広告を見つけた。
日給七万でアルバイト募集。ただし、大型特殊二脚免許所持者に限る。
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