評価:★★★★★ 4.5
僻地の島で医者を務めるラミアは、或る日、島の小さな男の子、シオンに突然、食い付かれた。
「どうして医者になったんだ、それもこんな僻地の島の」
はぐらかそうとしてはみたものの、ラミアは小さな男の子、シオンの眼差しに、遠い景色を思い出す。過ぎた景色に、特別な子が笑う。無邪気な声で、哀しみを帯びた瞳で、特別だった命が笑う。『ラミア』と、ラミアの永遠を知りながら、嬉しそうに……。
『人の命は廻るよ、だから、そんなに絶望しないで』
……ラミアが探し続けた答えも、廻った命も直ぐ傍にあったのだけれど、ラミアはそれに気付けなかった。哀しい瞳で自分を見る廻った季節に…………。――――「私」は走る。「私」を知らない愛した人の下へと、「私」を隠して「私」が走る。「私」を隠した小さな男の子が、愛した人の下へと駆ける……。
これが望みの代償――。「私」の弱さが招いた、『望みの代償』……。愛した人に「私」は「私」を名乗れない。
「隣で歩く日まで……」
「大人げない青年とディヴァ―の溜め息」
――――廻った命とのその後を綴った番外編の未来話。本編後の二人のハッピーストーリーとなっております(^^♪[恋人が男でもと匂わせたり、男女逆転してたりしますので、ご注意ください]
個人ブログ『虹色夢日記』に掲載中です。
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
注意:全年齢対象
「死が二人を分かつまで」 この台詞は結婚式等でよく聞かれるフレーズです。でも、もしも愛し合う恋人同士が、同じ時を生きられない運命(さだめ)を背負っていたら……。 この作品は、重い十字架を背負って生きる主人公と、運命(さだめ)という命の廻(めぐ)りに翻弄された女性の物語です。 とても悲しくて、とても切ない。けれど、とても暖かくて、とても優しい……。読み終わった時、私は何故かとても微笑ましい気持ちになりました。 まだ、読んでいらっしゃらない方は是非とも目を通して下さい。きっと、心が優しくなれると思います。 また、作中には幾つかの挿し絵が使われていますが、これも小説の内容に相応しいもので、素晴らしい出来です。 私はこの作品に出逢えた事に、心から感謝します。