評価:★★★★☆ 4.1
ルージマナリア王国の第三女として生を受けたローデリアは、母親の身分の低さを理由にお世辞にも贅沢とはいえない生活を強いられてきた。そんな彼女はある日突然、侯爵子息との結婚を決められてしまう。
けれども結婚相手のアレイズは、親の敵のような顔でローデリアを睨みつけた。
これはローデリアの結婚と、小さな成長のお話。
――――――――
(貴族・身分制度などについては、数世紀前の事実と作者の捏造が合わさっております。ご了承ください)
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
誤解ゆえの彼の暴挙、その後の彼がとった優しい行動…。それを彼女は、彼の〝悔い〟から起こったものと、長いこと思っていた。だが、それは単なる後悔ではなく、彼の長い〝贖罪〟の始まりであった。虐げられたゆえに感情を殺し続け、人の心の機微に疎い王女が、ようやく理解した時、二人はハッピーエンドに向かって、ゆっくりと歩み出す…。紆余曲折の展開と、彼女=王女の心の動き。コンパクトにまとまった、すてきな秀作です。良い夢が見れそう (〃▽〃)
“冒頭から惹きつけられ、2ページ目に入る頃にはもう夢中で物語りに入り込みました。中盤で、初めて知った感情を彼女が切なく散らすくだりは同じように胸が痛んで熱くなり、追い詰められて出す結論への心理描写がとても自然で、彼女が、心が沈む先に見ている光が何なのか、哀しいくらい津々と伝わってきて、もういいよと、思わず””楽にしてあげたい””と同調して祈るところでした。それでもやっぱり、最後は幸せになって欲しいと期待を込めてラストまで――――――!もう、本当に素敵でした。ゆっくりと、二人の未来が胸に収まりました。視点を変えながら、読者の持っているであろうフラストレーションの手綱をとって緩和していく小鶴様の筆力に、ただただ感服しています。胸を熱くする物語を、本当にありがとうございました。”
生い立ちや立場、周りからの偏見や誤解。それらを理解し、悪意に晒されながらも直向きに生きる主人公。「どうして?こんないい子なのに・・・」気付けば、読みながらボロボロと涙が零れていました。自分の存在に意味を見いだせなくなってしまった彼女。この優しく、けれど悲しい女の子は幸せになれるのか?本当の彼女を知った時、人々はどう変わるのか?願わくば、そんな健気な彼女が幸せになれますように。そんな応援をしたくなる作品です。
生きていると、後悔することって誰にでもあるじゃないですか。この小説は、主人公を含め、主要登場人物のそれぞれの後悔する理由に納得して、感情移入してしまいます。ある意味、魔法も転生も無い、貴族の小説なのですが、展開の速さに目が離せません。できれば・・・もちろん、できればですが、主人公には幸せになってほしいと思っています。