評価:★★★★★ 4.5
国内屈指のお嬢様である藤崎 玲香(ふじさき れいか)。そんな玲香には、幼い頃から一途に想っている男性がいる。血の繋がらない10歳年上の従兄・本居 賢(もとおり けん)である。1年間のピアノ留学を終えれば、彼との幸せな未来が待っているとばかり思っていた。
しかし、二人の気持ちが近づき始めた時、皇太子の妃選びの話が舞い込んで――。
抗えない波に呑まれながらも、諦めきれない想い。
登場人物それぞれの純愛を描いた群像劇。【第一章・葛藤】
「兄と妹」、その関係が崩れることなどないと思っていた賢。次第に大人へと成長していく従妹の玲香に惹かれるが、様々な問題から激しく葛藤する。(第一章のみ主人公による語りあり)【第二章・献呈】
留学先から戻り、賢との幸せな未来が待っているとばかり思っていた玲香。しかし自分が皇太子妃の候補者だと知る。抗えない波に呑まれ、賢への想いを抱いたまま、玲香はある決意をする。【第三章・愛憐】
幼い頃から皇太子を一途に想っている伯爵令嬢・雛子。玲香とは対照的な家庭で育ち、ピアノのライバルでもあった。そして偶然にも玲香にとって不利な秘密を知ることになる。【第四章・傾慕】
雛子を皇太子妃にと望む女官長・貴子。物語は貴子の高校時代へと遡る。女官長と玲香の父と前妻、そして雛子の父には深い関わりがあった。【第五章・清純】
玲香と雛子、皇太子妃を巡って動き出す登場人物たち。それぞれの恋の結末と心情が明らかになる。※本作品は、漫画化を目的としたシナリオ形式になっております。
漫画を読むイメージでお楽しみいただければ幸いです。
※一部、古典作品の翻案(二次的著作物)が含まれます。(第47話『メリー・ウィドウ』の劇の場面)
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:学園
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:R15
日本をモデルにした架空の国の物語。 恋愛・学園・音楽モノ、職業モノ、宮廷モノなどの要素がぎっしり詰まって、お得感のある作品。 きらびやかな上流階級を舞台に繰り広げられる人間模様。 恋愛だけでなく、家族や宮廷内の確執など複雑な関係が、わかりやすく描かれています。 各キャラがしっかり血の通った人間として描かれ、感情移入しやすいです。対立するキャラにも深い事情があって憎めません。執事萌えの方は必見。 ピアノ演奏が、ストーリーを動かす重要な鍵となっています。 シナリオとして描かれているので、シーンを彩るBGM選定も魅力のひとつ。 二章ラストの置手紙を朗読するシーンは、是非、曲を聞きながら読むことをお勧めします。 本編に通ずるエッセンスを巧みに抽出した劇中劇も、最終章に華を添えます。 すれ違いで絡まった運命の糸はどうなるのか……ご自身の目で見届けてください。
最初に断っておくが、これは小説ではない。シナリオだ。それなのに、まるで分厚い長編を読んでいるような、重厚で壮大な人間ドラマを味わえる。軸になるのは二人の男女、賢と玲香。玲香が小さな子供から大人の女性になっていく過程で起こる、賢との恋愛、友情、家庭内の問題を、きめ細やかに描いている。舞台は日本をモデルにした国の架空の都市で、主に上流階級の人物達にスポットが当たっているのだが、作者がその生活を実に良く作り込んでいるため、決しておとぎ話のように遠い世界の話にならず、読んでいるとまるで本当に実在しているかのように、ありありと目に浮かぶのだ。それぞれのキャラクターにも丁寧な設定がなされており、脇役達も全くおろそかにされていないことは、登場人物の多さから考えても、まさに驚異的である。スピンオフもあるので、まずはこの作品から読まれることをお薦めする。一度読み出したら止まらないのでご注意を。