評価:★★★★☆ 4.2
退屈をしていた悪魔の少年ミディエルは、とある噂に耳を傾けた。それは人間界に、どんな傷も病も治してしまうという、癒しの力を持つ奇跡の聖女が現れたというものだった。そんな馬鹿なと思いつつ、興味を惹かれて見に行ってみることにした。そこで彼が目にしたのは、強大な力に潰され、生きることを諦めてしまった少女の姿だった。まるで、かつての自分を見ているようで――放っておくことが、できなかった。
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
冒頭のおしゃべり鴉たちの口上から、一気に世界に引き込まれました。感情がないようで、感情をむき出しのミダ。感情豊かなのに、表に出さないリン。伝わっているのかいないのか……もどかしいけれど、じつは『感じていた』お互いの想い……ずっとそばにいてほしい、そばにいたい、その願いを叶えた唯一の方法が悲しくてせつなくて。それが正解だったのか、一緒に考えてくれませんか?美しい詩のようなすてきな物語、ぜひ読んでみてください。
外界に興味を持たない悪魔の少年ミディエルが、人間界の噂を聞きつけ奇跡の聖女を見物しにいく。しかし聖女は複雑な運命に縛られ、生きることを諦めてしまっていた。かつての自分と重ねあわせたミディエルは、ただ見物したかっただけのはずである聖女を助け、ずっと共にいたいと願う。この小説の読みどころは、「愛とは何か」という疑問に対して、答えの一つを示しているところです。魅力的な登場人物たちに導かれるまま読み進めていくと、いつのまにか主人公の深い愛情に辿り着きます。身を削ってでも大切な人を救いたい、共にいたいという感情を、自然な形で教えてくれる作品です。