評価:★★★★★ 4.5
日本列島の南西に浮かぶ波瑠島。夏休み明けに東京から季節外れの転校生、如月葵がやってきた。右頬に大きな痣がある葵は、クラスに馴染むことなく孤立を深める。ある日、同じクラスの鳴海孝介は、葵が毎日ある場所へ通っていることを知る。幼い頃に不思議な力を宿した孝介は、聖痕を刻まれた葵を救うために行動する。
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
完結日:2015年12月11日
作者:koh
読みごたえ十分、短編であるのにお腹も胸もいっぱいになる物語です。文章も洗練されており、プロの原稿を読んでいるかのようですし。うん、上質な、純文学。死者の言葉を聞くことができる少年が、謎多き転校生(しかも美少女!)の抱える闇にせまることで、自分の力の有りようを探っていく、という。でもどちらかというとストーリーよりも、丁寧に描かれている「生」や「死」への考察や、多感な少女の内面描写が素晴らしい作品だと思います。冒頭の少女の日記、生へのいたたまれなさのような繊細な感情の表現、あるいは主人公のお葬式への考察、その描写。などなど。ここがどれほど儚く悲しみに満ちた世界であっても。誰もみな、失いながら、生きていく。