ベースタウンの聖なる時季、もう一度あの頃へ

先進国ヤマト国内にありながら、駐留ユエセイ軍基地が小さな島を占拠しているため「基地の島」とも呼ばれるルキウスに生まれ育った私は、高校卒業と同時に留学を決意した。

幼い頃に大好きだった外人兵相手の娼婦ケイさん。恋人とされる黒人兵が、約束通り迎えに来る日を待つ姿は、とても幸せそうに映った。

大好きな恋人、幸也との別れは辛かった・・・　クリスマスの季節、美しいイルミネーションを見て回ったことは一生の思い出！　特に、作り手の温かみが伝わって来る「クスノキの家」が大好きだった。

出発直前に、大親友の玲子が黒人兵から集団レイプされるという忌まわしい大事件が発生！　複雑な旅立ちとなってしまった。

留学先の現地で海外就職。アイソ規格のコンサルティング会社で素敵な上司兼婚約者のビルもいて、まさに夢の実現のように思えたけど・・・　同時に「悪夢」も進行していた！

会社が私を特別扱いしたのは、営業戦略上の有望市場が、私の故郷ルキウスだったから・・・　冷徹なシナリオに沿って帰国させられ、事務所のある首都トキオメトロ区に居を構え「故郷営業」のため、頻繁に帰省する日々が始まった。

親のコネで契約件数は伸び続ける一方なのに、社内体制が一向に整備されず、イライラが募る日々が始まり・・・　やがて会社は不条理にも、ヤマト国からの撤退を決定！　父親も私も社会的信用を失墜した。

一人の失業者へと転落した私は、都会で寂しいクリスマスを迎えることが耐えられず、幸也と過ごしたクリスマスを再現するため、再びルキウス行きの飛行機に乗り込んだ。

このベースタウン傷心旅行で、すっかり変わり果てた姿になっても健気に恋人を待ち続けるケイさんと出会い・・・　生まれ変わった玲子の「告白」を聞かされ・・・　幸也とも偶然の再会を果たし、天国から「クスノキの家」に宿る普遍の聖なるスピリットを教えられた。