評価:★★★★☆ 4
その村には、毎年一人ずつ娘が神の花嫁として捧げられるという風習があった。儀式が行われるのは、豊穣祭のあと。祭壇に上った娘は、神の化身である炎に焼かれる。その時に上げた花嫁の悲鳴は、その後一年の村の指針を示す神託として村人を支えていた。
苦痛の果て、花嫁は神の元へ辿り着く。花嫁を迎えたのは、神と呼ばれる一族の末裔のヴェンリアだった。花嫁はヴェンリアや彼女と生活を共にする者たちと暮らすうち、彼女の知られざる苦痛を共有していく。※稀にグロシーンがあります。まえがきにて注意書きをしますので、苦手な方はお気を付けください。
※架空の世界から別の架空の世界への転生モノです。チート、成り上がり等の要素はありません。
時代:未登録
舞台:異世界
雰囲気:未登録
展開:未登録
「灰の花嫁と炎の神殿」 炎を信仰する村。真面目で優しい気質のライザは、神へ捧げられる「花嫁」に選ばれる。 花嫁になれるのは光栄だ。誇りと喜びを唄い、祭壇へ立つ。しかし炎に包まれる瞬間、儀式の恩恵を望む村人達の為に抑えていた恐怖が溢れだす。 しかしいくら叫べども神聖な火はうら若き乙女を絶叫ごと包み込みー目が覚めれば、『家』にいた。 家でライザを迎え入れた女性を神だとライザは考える。そして女性とともに魔法の根付く異世界で生活するが…。 心の機微の描写が素晴らしい。まるで自分がライザとともに見て、感じているように思えます。特に炎に焼かれるシーンは圧巻。 一見穏やかで、それでも消えることのない不穏。丁寧かつわかりやすい文体、『生きている』主人公達の命の瞬き。ストーリーもさることながら、文章がとにかく読みやすい。 優しい日常と非業、そして謎に振り回されてみませんか?