評価:★★★★☆ 3.8
洋菓子店スタリナは、店員がかわいくて、あとケーキが美味しいと評判だが、経済事情は厳しく、店長はいつも頭を抱えている。そして店を支える四人の少女達もまた、それぞれの事情を抱えている。だから彼と彼女らは悩み苦しみながら、ちょっぴり残念な日々を楽しく一生懸命に過ごしている。
(中編長編の紹介)
結城真帆の刻苦事情 勘違いから始まる、ほのぼのした話です。
金髪少女の母親事情 家出幼女から始まる、ちょっと重い話です。
夢見る乙女の青春事情 不登校から始まる、頑張る話です。
伊国少女の恋愛事情 最悪の出会いから始まった、恋の話です
洋菓子店の経営事情 最終章です。刻苦事情以外を読まないと意味不明です。
※完結しました(12/18)
※学園祭編は目次上部の「のとな」からどうぞ(12/20)
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:現代
舞台:未登録
雰囲気:ほのぼの
展開:未登録
注意:全年齢対象
このジュブナイル小説、実はタイトルに偽りがある。この物語に登場する少女たちは、決して残念ではないからだ。それなり以上に勘違いを撒き散らす娘も、恋愛という言葉にギアをあげてしまう娘も、ぶっきらぼうすぎて色々巻き込んでしまう娘も、そして忘れられぬ過去の傷に寄り添い続ける娘も、全くもって残念ではない……店長だけは正しく残念だが。 少女たちに絡まる“ほとんどの”事情は、実はけっこう重い。それこそ、本来なら大人が先達として解決しなければならないほどの重さだ。しかし、下城氏の筆が描き出す少女たちは、怯んだり、ためらったりしても、決して背は向けない。その凜々しさは、暗雲もろとも情けない大人たちも吹き飛ばし、最後に輝きを見せてくれる。 ズシリと重い話ばかりではなく、はなからキラッキラの軽い事情もあるので、身がまえて読む必要はない。サービスと味のよさは、正に舞台である洋菓子店“スタリナ”の如しなのだ。
舞台は経営が苦しいとある洋菓子屋。パティシエである主人公とそこで働く四人の少女達による日常劇――とあらすじだけ見ればそう目新しい設定はないかもしれません。で・す・が! 特筆すべきは、各ヒロインのキャラ立ち。素晴らしいの一言です。コメディ主体ですが、シリアスなストーリーによるヒロインの掘り下げもあり、読者を飽きさせない。気が付くといつの間にお気に入りのヒロインが出来ています。笑いあり、涙あり! 残念だったり、時にはしっかりしている彼女達の行く末が気になること間違い無しです!