エトワール 完結日:2016年1月27日 作者:たびー 評価:★★★★★ 4.5おまえは、エトワール(星)をまだ見ていないのだ。 父の言葉の真意を理解したとき、オルグは嫉妬の炎に焼かれた……。 嫉妬と後悔の物語。 第四回ネット小説大賞二次通過作品。ありがとうございましたm(__)m ※カクヨム・エブリスタでも公開中 話数:全9話 ジャンル:ファンタジー 童話 登場人物 主人公属性 未登録 職業・種族 未登録 時代:未登録 舞台:未登録 雰囲気:未登録 展開:未登録 その他要素 ノーム 嫉妬 宝石 注意:全年齢対象 なろうで小説を読む
まるで宝石細工のように美しい物語でした。職人であるオルグの嫉妬心が様々な人たちとの出会いと別れによって、純粋な尊敬と贖罪になっていく物語。 自身に満ちていた若い頃のオルグの気持ちも良くわかりますし、ノームの娘ナナに嫉妬するオルグの葛藤も自分のことのように思えました。 そんなオルグが嫉妬心に躓き、本当の意味で職人になっていく後半には胸を打たれるものがあります。最後の最後でオルグに救いがあって本当によかった。
ノームやエルフの住む、ファンタジーの世界。領主のお抱え職人のオルグは、美しい金物や宝石の細工を作る。それで上り詰めたのだと思っていた。天狗になっていたのです。おそらく、誰にでもそんなときはある。自分が生み出すものは素晴らしいきものだ。一番なのだ。その証拠にこれだけの、称賛を集めているのだから、と。でも、本当にそう? 自分の力と望む先、その二つを理解したうえで、謙虚に向かい合ったとき、きっとエトワールはあなたの闇と、そして正しき道を指し示すと思うのです。すべての物を作る人が読むべき、素敵な小説です。
中世のファンタジックな世界観に、ノームやエルフの住む世界。 だからこそ、そこに在る真実が胸をうちます。 才能があるが故の矜持、そこからの慢心。 新たな世界で思い知らされる自分の卑小さ、嫉妬、諦観。 今まで歩んできた道、学んだことすべては『本物』には敵わないのか。妥協して夢をあきらめ安穏と過ごすか。 それでもかつて見出した光は、夢を浮き彫りにして切ない思いを去来させる。 創作に携わる人、すべてが向き合う難問。 夢とは、自分が創りたいものは。かつてしがみついていた物に意味がないと気づいたときは。 不朽の時を経て輝き続ける星。 甘やかな諦めではなく、無明の闇を探りながら、苦痛を傍らに置いて進むことでこそ手に入るのかもしれません。 胸の内にある光をその手に。
誰しも何かを作り上げたことが一度はあると思う。そして自分の作り上げたものがひどくみすぼらしく感じたことも。いや、作り上げなくともスポーツでも勉学でも何かしらの努力をして他人の力量に羨むことがあっただろう。だけどどんなに羨んだとしても、自分は自分であり、他人にはなれない。そして他人が作るものは自分では作れない。この作品は、自分がなぜ努力をするのかを改めて見直すきっかけになる作品であると思う。名声のためか? 人が喜ぶ顔が見たいからか? どんな理由にせよ、自分は真剣に努力しているか?どうかこの作品を読んで自分がなぜ努力をするのか、スポーツでも勉学でも、真剣に向き合っているかを今一度見直してほしい。きっとそれを考える手助けになるだろうから。
誰でも一度は経験があるだろう『敗北感』。それに打ちのめされ、悩み、迷い、そしてそこからどうやって立ち直っていくのか――この物語にはその答えが詰まっていた。私自身も身につまされる思いに駆られ、またラストに向かっていくとその心がスッと軽くなる思いがした。成功しているときほど人は自分自身を見失いがちになる。けれど真に大切なことはなんであるのか?これを読み振り返ってほしい。あなたにとってのエトワール。それはなんであるのかを是非!!