山田九十九、22歳。
普通に大学を卒業して地方公務員になろうとしていたわたしは、『ひょん』なことから異世界へと導かれ、魑魅魍魎や付喪神が跋扈する世界の寮の管理人となってしまった!
この世界に生きる様々な存在の目線から語られる、群像日常コメディです。【第一章】
彼氏を寝取られた失意に暮れる山田九十九は、飲めないアルコールを飲み歩いているあいだに、座敷童の『ひょん』に導かれて、異世界へと転移する。魑魅魍魎が集う寮『魑魅魍寮』の管理人となった九十九は、生ける鎧の『ヒトー』、働かない冬の神の『柊憂姫』、従兄弟の『山田はじめ』、そして滅ぼされたはずの種族である鬼の『おうま』くんとの新生活を始める。【第二章】
『どうかクビだけはご勘弁を!』が口癖のデュラハンリーマン『ヒトー』と、彼に恋する新人OL『小谷間まどか』の物語。【第三章】
百鬼夜高に通う『山田はじめ』と、鬼斬り『稲荷いの』が憑依した『小谷間ともえ』の物語。決して外へは出すなと言われていた鬼『おうま』君を、九十九はひょんなことから散歩に誘って――。【第四章】
鬼斬り『稲荷いの』の襲撃が終わり、それぞれの失ったものと新しく出逢った者との物語。そして『ヒトーさん』と『小谷間まどか』の仕事場でひとつの事件が。【第五章】
春が終わり、『椿桜姫』が奇想天街に降りてくるころ、働かない冬の神様『柊憂姫』と、バイト戦士な夏の神様『榎夏姫』の物語が動き出す。【第六章】
物語はその外部構造を見せ、大きく疾走りだす。出雲中央政府に運命を捻じ曲げられた者たちが迎える、神の無い月が幕を開ける。【最終章】
山田九十九の『観測』と『選択』Twitterをやっています:https://twitter.com/aimiele
魑魅魍寮へようこそ!
完結日:2016年1月18日
作者:山田えみる
評価:★★★★☆ 4.3
雰囲気:ほのぼの
展開:未登録
注意:全年齢対象
主人公はダメ人間臭の強い人物ですが、周囲のほのぼのとした雰囲気の中で、より一層それが強調されます。 他にも駄目っぽいキャラクターもいますが、それも相まって特異生物たちも含めて、人間臭いおかしみを感じます。 バックボーンがそれぞれにあり、秘密や悩みを抱えて、現代に良く似た違う世界で生きています。 それが、ある切欠からそれぞれの想いや使命を持って戦う……という所まで読みました。それぞれの特性によってさまざまな能力があり、どのように戦いが展開されていくのか、予想できません。 妖怪や西洋の怪物、果ては神様などが出てくる賑やかなラインナップながら、複雑に絡み合うストーリーで、先が気になります。 主人公山田九十九の活躍がちゃんとあると期待して、追いかけて行きたい作品です。