評価:★★★★☆ 4.3
20XX年4月25日。愛知県名古屋市の「南山動植物園」に隕石と思われるものが落下。その日を境として” 怪物 ”の目撃情報が市内で増加すると共に奇妙な事件が発生し始めた。
後に三十三名の死傷者が生まれたことが発覚した一連の事件は、「ドーキンスの悪魔事件」と関係者から呼ばれることとなる。これはその事件の影に存在した「ドーキンスの悪魔二号」と呼ばれた怪物――地球外生命体の遺伝子に右腕を侵された青年と、その関係者の質疑応答を纏めた記録である。
話数:全22話
時代:現代
舞台:未登録
雰囲気:シリアス
展開:未登録
注意:全年齢対象
“ ヒーローが戦う理由を考えたことがありますか? 「世界を守るため」「愛する者のため」「仕方が無いから」―― ””現実”にそんな理由だけで戦えるでしょうか? 本作は特撮のような、現代を舞台にした変身ヒーローものです。 ですが、ヒーローの活躍はシニカルにも『事件』扱いで片付けられ、描かれるものは詳細な『記録』―― 巻き込まれた彼らの、心の動きです。 考察に値するまでに創られた世界観。深く掘られた立ち向かう者、待つ者の想い。至る二種の結末―― その全てがエンターテイメントとして描かれ、『娯楽文学』として昇華されています。 過去驚くほどのレビューを得ている筆者の、語り尽くせない見事な手腕をお楽しみください。 きっと本作の、その””斬新”な描き方一つで「面白い!」と納得出来るでしょう。 皆さんに胸を張ってお薦めできる一作です。”
変身ヒーローに、自己犠牲は付き物だ。 それでも、戦いの虚しさと孤独の中でも、大切な人を想う心があるから何度でも立ち上がることができる。 悲しいと喜びの天秤が釣り合う限り、戦える。 そういうものだ。それを失えば……。 星の外より、平和な街に飛来したのは、人を襲い人の存在を侵し繁殖する怪物だった。人は為す術なく侵略を受けるはずだったのに、同時に、怪物と戦う何者かが存在した。 それは、力を手にしてしまった一人の青年だった。 彼は戦った。個人的な、生きる理由を求めて赤腕を振った。 気になったのは、他人には戦う彼の姿もまた怪物にしか見えなかったこと。戦いの結果、迫害以上の代償が待っていたこと。 そして、そんな彼を待ち続ける少女が一人いること。 全ては過去形。 全てが終わった後のインタビュー。 孤独なヒーローと、無力なヒロインの、それぞれの戦記。 必見なのです。