高級訪問販売員Ｕと高校生

　異星人から押し売りでゴム紐を売り付けられる。　そんなシュールな場面から私は釘付けとなった。彼の名前は”羽生歯科“。歯医者かよ！　チェブラーシカかよ！　と突っ込みたくなるようなネーミング・センスにもたまげたが、それを代弁して突っ込んでくれるコミカルな高校生兄妹がちゃんと登場してくれる。　アンバランスでミスマッチ、そして素晴らしいアイデアで最後まで引っ張っりつつ、尚且つそこから”日本人“の素晴らしさというものに重点を置いているのがこの作品の最大の魅力だと言っていいだろう。”和“テイストなのである。　外国人、いや、宇宙人の心まで溶かしてしまう”日本人の粋と情“を失わぬようにと作者は問いかけてくる。　まずはこの作品を読む前に短編『ご栄転で湖の屑拾い』を読んでみるといい。その奇抜さ、アンバランスさ、絶妙な会話のメリハリと温かさ。それがこの作者のひとつの持ち味であることは間違いない。

　想像してみてください。　　見た事のない機能。　聞いた事もない効果。　便利で安くて使い勝手のいい商品。　見た目はどこにでもあるようなものなのに、どこにもないようなそんな商品がもしもあったなら？　そして、そんな商品を売る少し風変わりな訪問販売員があなたの家に突然訪ねて来たとしたら？　あなたならどうしますか？　その商品を　Ａ・買う？　Ｂ・買わない？　その訪問販売員の正体を　Ａ・調べる？　Ｂ・調べない？　きっと、慎重でトラブルに巻き込まれたくない賢明あなたなら「Ｂ」を選ぶでしょうね。　Ｂを選べば答えは簡単。そう、何も起こらない。　でも「Ａ」を選んでいたら？　どんなことが起きるのか？　知りたいと思いませんか？　これはそんな「Ａ」を選択した高校生の物語。　あなたの家に突然訪ねてくる訪問販売員は本当にただの人間だと思いますか？　高級訪問販売員Ｕと高校生・是非ご一読を