評価:☆☆☆☆☆ 0
埼玉県立成架高校。緊急の全校集会で、ある少女の訃報が知らせられる。金井鏡花……三年生、一七歳。彼女の死は事故ではない。殺人である。そしてそれを実行したのは、同じく三年生、一八歳の葦原圭介だった。鏡花の殺害は、圭介にとって計画の始まりでしかない。圭介は金井鏡花と、西島美久、紫崎陽子。この三人を殺す。彼女らを殺さなければ……
話数:全22話
ジャンル:その他
雰囲気:シリアス
展開:未登録
注意:R15
完結日:2016年4月12日
作者:熊と塩
この作品はサスペンスのようで自叙伝でもあり哲学巨編である。序盤の展開は遅く読者は忍耐力を試される。しかし、主人公の丁寧な心理描写は作者自身が物語の暗黒面に飲まれまいと命がけで戦った証左である。正直、ここまで克明に負の感情を描いた作品はめったにお目にかかれない。読者は精神力を蓄えて、ぜひこの興味深い深淵を覗いてほしい。最後に主人公は中盤にこう激白する。「僕と先輩とは、こういう事をする関係じゃないですか。恋人でも友達でもない。鏡花ともそうです。こうしているのが普通の関係じゃないですか。鏡花は死んだけれど、僕たちは呼吸をして、飯を食って、寝て起きてる。それと一緒ですよ。ただいつも通りにしているだけです。人の死を悼む為に日常を捨てなきゃならないなら、僕らは、生きる事さえ許されない」