評価:★★★★★ 4.5
眠くて眠くて起きていられない。激しい波のような夢に巻き込まれる…
これは本当に夢?それとも現実?
そんな病があるのを知っていますか?
四人家族でとある田舎町で育った瀬長浅葱(せなが・あさぎ)は、中学の頃から“居眠り魔”と称され始める。
こっちの世界よりあっちの世界の方がいい…そう思うけれど為す術もなく、彼女はやがて高校へ進み、広い街へ出て、社会へと出て行く。その中で数々の出会いが彼女の“こっちの世界”を広げていく。
【高校世界】で出会った勝気なリーダー女子・君塚砂雪(きみづか・さゆき)
【専門世界】で出会った女たらしと悪評の絶えない千葉巳隆(ちば・みたか)
そして【あっちの世界】に度々出没するナルシストヴァンパイアこと、レオ。
弱気な父、元ギャルの母、賢い妹、アパレルショップの店長…
自らを取り巻く人々がどう動いていたか、どう絡んでいたか、一日12時間起きているのが精一杯な浅葱はずっと後になって知ることになる。
著者が目にした夢と現実の世界を元にしたほぼほぼフィクション。理解されにくい睡眠障害【Hypersomnia(過眠症)】のお話。
通勤電車の中、ときに羨ましいくらい遠慮もなしに眠っているその人は、もしかすると終わりの見えない夢の渦から手を伸ばしているのかも知れません。
降りるべき場所も通り過ぎ、何処かへ流されていくのを知りながら。
(※全ての過眠症の人が同じ症状、同じ夢の体験をする訳ではありません。あくまでも著者の視点、なおかつフィクションとして描いた作品です)
(※地域ネタあり。著者がかつて関わった場所にはわかりやすいように解説を入れています)
※重複投稿:こちらでの完結後、小説投稿サイト「魔法のiらんど」へ投稿。
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
夢と現実が交互に織り成す構成自体に取り立てて目新しさは感じられませんが、そこに二つの異なった時の流れを設定し、尚且つそれを継続させていることにこの作品の不思議な魅力があります。過眠症という耳慣れない睡眠障害が主題……それを土台にファンタジーと青春と恋愛の三要素が作者様の実体験も加わって見事に調和されています。自身の症状から世間を斜めに見るようになった一人の少女が、不器用ながらも徐々に成長していく過程は読む者に多くの共感をもたらせてくれるでしょう。