天の火を浴びよ 完結日:2016年6月8日 作者:識島果 評価:★★★★☆ 4.4 驟雨はげしい春の夜、若き司祭アルセン・ベロワは廃教会にて子どもを拾う。類まれなる美貌を備えたその子どもはユーリイと名乗るが、彼はおぞましき異形の存在であった。 とある男が告解部屋で語りはじめる、かなしくも奇怪な物語。 話数:全14話 ジャンル:純文学 登場人物 主人公属性 未登録 職業・種族 未登録 時代:未登録 舞台:未登録 雰囲気:未登録 展開:未登録 その他要素 伝奇 神官 美少年 注意:R15 なろうで小説を読む
何を求めて、web小説を読んでいますか。書き手はときに「何の為に書くのか」の言語化を迫られます。では読み手は? 「何を求めて読むのか」突き詰めて言葉にしたことありますか?ストーリー展開? キャラクター? それを支える文章力?読みやすくわかりやすい文章を書く人は確かに多いと感じます。そういう小説は読んでいて心地よいですね。この小説は、少し違います。匂い立つような、圧倒的密度の美文。長く記憶に残るような、重厚感あるストーリーも読み応え抜群です。ですが、何よりこの、webではなかなか出会えない緻密な文章の連なりから「小説を読む」醍醐味や満足感を味わってほしい。そんな作品でした。秋の夜長に、じっくり読書したい方にオススメします。
静かな。 美しくも哀しい物語りである。 神父が拾った美少年は人の血をすする「異形」であった。「異形」の少年は神父へ問いかける。「ぼくが他の人と違っていてもーーそれでも神さまはぼくを救ってくださる?」 この問いかけこそが物語り全般に渡って繰り返されるキーワードとなっていく。「人の罪」と「神の赦し」 外見だけ見れば無垢なる美しい少年のなかに蠢く破滅への影に、時に目を瞑り、怯え、希望を見いだそうとしている神父もまた、「罪」を噛みしめ、「赦し」を求める。人も異形なる者も。皆が幸せに暮らせる世界などどこにもないのだ。そう知って尚、共に神の怒りの火を浴びようとする行為は、愛情なのだろうか。愚かな行為なのだろうか。あなたのなかの神さまは、この物語りにどのような答えをだしてくれるだろうか?