アリス・エデュケーション　～私が人類を堕落させるわ！～

最近というかそこそこ前から大学入試やその模試なんかの問題でもよく出て来る高度過ぎるAIが起こす危険な未来の話。映画や小説でも有名な設定ですよね。 この作品はそれとはかなり方向性が違います。ユートピア？かどうかは分かりませんが、こんな未来もありなんじゃないかなぁって思えるような世界です。 人類を堕落させるために行動するアリスの面白くて爽快なお話し、ぜひご一読ください。

「こんなこといいな、できたらいいな」 某国民的アニメの、昔のＯＰです。けれど、この短いフレーズはＳＦの基本を語っています。 こんな技術があれば、もっと楽で楽しい生活が送れる。でも実際には無いから小説で書いちゃえ！ この『アリス・エデュケーション』も、恐らくそういう動機に基づいています。 ５インチのフロッピーディスクに封印されていた少女型人工知能、アリス。その目的は、全人類を怠け者に変えること。本作をごく簡単にまとめると、そうなります。 ですが、そこには一片の妥協も無い。大学の小さな研究室から、アリスが世界に喧嘩を吹っ掛ける様はとても爽快です。オバマだろうがプーチンだろうが、果ては多国籍軍だろうが薙ぎ倒していく展開に、思わず「良いぞ、もっとやれ！」と喝采を送ってしまいました。 荒唐無稽。だからこそ夢がある。アリスの目指す場所こそ、僕らの望む理想郷なのかもしれません。